Без кейворда
新基準原付の車両概要をお復習いすると、排気量は50㏄以上125㏄以下のエンジン。最高出力は4kW以下の車両を従来通りの原付一種(50㏄以下の免許)で運転が可能、というもの。今回試乗したスーパーカブ110 Liteの場合、ベースはスーパーカブ110であり、109㏄の空冷OHC2バルブエンジンを搭載するのも同じ。 最高出力/最大トルクはスーパーカブ110の5.9kW/7500rpm、8.8N・m/5500rpmのスペックから、スーパーカブ110 Liteでは3.5kW/6000rpm、6.9N・m/3750rpmとなった。スペック的にはより低い回転で最高出力、最大トルクが出ているのが解る。数値よりも新基準原付のそれと既存の原付ライダーが走らせても違和感がないようなマイルドで乗りやすいドライバビリティを付加したとのこと。 これはスーパーカブ50が2.7kW/7500rpm、3.8N・m/6500rpmだったことを考えると、排気量がもたらすトルク感があるに違いない、という見立てがたった。
車両のサイズ、重量も含めスーパーカブ110と同等となるスーパーカブ110 Lite。スーパーカブ50と比較するとスーパーカブ110 Liteは重量が96㎏から5㎏増加。全幅が10mm広がり、シート高は3mmアップ、と重量以外は大同小異となる。価格が24万7500円から34万1000円と、大きく上昇した。しかしその中には車体周りの変更もある。エンジン以外にもフロントブレーキに装備されたABS、スポークホイールからキャストホイール+チューブレスタイヤへの変更なども加わっている。これも環境規制以外にも新基準モデルに必須となる要素でもあるため横一線では比較はできない。とはいえ、値段あがったよね、と思うのが自然だし否めない。
余裕の走りが新鮮エンジンを始動した瞬間、排気量なりのブルルンという振動がある。これは50とは明確に違った印象で大きな排気量エンジンのそれ。ただし110と110 Liteに明解な違いはないだろう。 一速に入れてアクセルをあけていく。発進時の排気量なりのトルク感は回転馬力で稼ぎ出すスタイルの50㏄エンジンでは味わえないゆとりがある。右手を捻りエンジンを盛大にブワンと回してもあまり前にさほど進まない(つまりローギアードな)50とは異なり、低い回転域のままうしろから数人の力持ちに押し出されるような感覚で大股で走るような加速感だ。 エンジン回転を引っ張ることなく2速、3速とシフトすると下り坂?という走りっぷり。あっというまに30km/hに到達。それがちょっとした上り坂でもエンジンが唸る、引っ張るなど頑張る必要がない。この余裕がいいのだ、110 Lite。
パワーのゆとりはスペック的には110>110 Lite>50となるのだが、走った印象は50のようにアクセル全開という場面がほぼない。その点で110>110 Liteではなく常用域ではほぼ110とイコールなのだ。アクセル全開域だけ高回転になるほどマイルドになる出力特性はまさしく馬力の差、トルクの差、となるのが110 Lite。魅力なのは少ないアクセル開度でも余裕の走りを続けるコト。 もちろん、制限速度では後方から迫る他の車両をミラーで常にウォッチする必要がある。時にスイスイペダルを回すロードバイクや速い電アシ自転車もそれに加わる。二輪も四輪も運転する立場から言えば、路上の実勢速度と原付の制限速度の差異が時に渋滞やムリな追い越しでアブナイ場面に遭遇することもある。
市街地での走りは軽快というよりしっかりとした安定感がある。荷物を積むことを前提にしたしっかりした車体やサスペンション、トルク豊かなエンジン。その二つの組合せでスーパーカブ110 Liteが見せるコーナリングやブレーキング性能は質感が高い。安心感があるのだ。50㏄のスクーター、ダンクなどが持つ意のまま感ある動きも魅力だが、片道100kmぐらいのロングツーリングを計画した時、疲れが違うのもカブの魅力だろう。そう、乗っている間、遠出がしたくなる誘惑が嬉しかった。これも110 Liteの才能だろう。
セレクトショップで売っている良いもの感、さらにアップ 空冷OHC2バルブ単気筒エンジン。シリンダー周りを前傾させることでステップスルーを具現化する空間を確保。低重心にも貢献。ロングストロークタイプのエンジンで低回転から力強い特性をもっている。 Y字型のスポークが特徴のキャストホイール。走行中ホイールに太陽の光が当たるとスポークホイール同様キラキラ感がある。前輪は油圧ディスクブレーキを採用。ABSも装備する。 クロームのヒートガードを持つマフラー。スチール製角型スイングアーム、フルカバーされたリアショックユニットもカブらしいディテール。チューブレスタイプのタイヤとキャストホイールが110 Liteの特徴。 速度計もハンドルカバー内にある独特のスタイル。平均燃費ほかトリップ、時計も表示する。 ハンドル周りはシンプルなスイッチレイアウトで使いやすい。エンジン始動用スタータースイッチは右スイッチボックスにある。キックスターターも併用するタイプ。 自動遠心クラッチを備えるセミATの元祖的存在。シフトチェンジはシーソーペダルによりつま先と踵で踏む方向でシフトが可能。4速ローターリー式。4速で停止すると踏めばニュートラルになる便利機能も備える。 フルカバーされたドライブチェーン。注油したオイルで車輪周りが汚れることがない。チェーンケースにある黒い丸いカバーはチェーンのメンテナンス用ホール。●スーパーカブ110 Lite主要諸元 ■エンジン種類:空冷4ストローク単気筒OHC2バルブ ■総排気量:109cm3 ■最高出力:3.5kw(4.8PS)/6,000rpm ■最大トルク:6.9N・m(0.70kgf・m)/3,750rpm ■全長×全幅×全高:1,860×705×1,400 ■ホイールベース:1,205mm ■最低地上高:138mm ■シート高:738mm ■車両重量:101kg ■燃料タンク容量:4.1L ■変速機形式:常時噛合式4段リターン ■フレーム形式:バックボーン ■懸架方式(前・後):テレスコピック・スイングアーム ■ブレーキ(前×後):油圧式ディスク × 機械式リーディング・トレーリング ■タイヤ(前×後):70/90-17・80/90-17 ■車体色:タスマニアグリーンメタリック、バージンベージュ ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):341,000円
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