. Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)
Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)
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クリーム解散ライブが日本初上映、エリック・クラプトン在籍の伝説的バンド

トリオ、つまり三人だけという最小編成で1960年代後半のロック界に革命を起こし、その表現領域を大きく広げたバンド、クリームがいかに偉大な存在であったかについては、あらためて語るまでもないだろう。そのフェアウェル・ツアーの最終日、1968年11月26日のロイヤル・アルバート・ホールでのコンサートを中心に、一年ほど前に収録されたものと思われるインタビュー、時代を感じさせるやや独善的なナレーションなどで構成されたこの映像作品が、60年近い歳月を超えて、とりわけライヴでの彼らの凄さを余すところなく伝えてくれる。 だが、三人それぞれの圧倒的な演奏力とその強烈なぶつかりあいは、評論家筋からの評価やファンの受け止めはともかく、23歳のエリック・クラプトンを苦しめてもいた。とりわけザ・バンドが同じ年に発表した『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』でのオーガニックなサウンドに打ちのめされ、クリームのギタリストとしての自分に疑問を感じるようになっていたのだ。 結局彼はクリームを去り(それはバンドの解散を意味していた)、新しい地平に向かって歩みはじめることを決意する。だから、ロバート・ジョンソンの「クロス・ロード・ブルーズ」を翻案した「クロスーロード」は、彼の心境の正直な表明にほかならなかった。その古典を自分のものとして歌う彼の表情には、解放された喜びのようなものすら浮かんでいるではないか。 この映像をNHKの『ヤング・ミュージック・ショー』で観たのは、1972年春のことだが、クリームのあとブラインド・フェイスやドミノスでさらなる苦悩を味わったクラプトンは、そのころ、深い闇に沈み込んでしまっていた。彼の前にはまだ、いくつもの十字路が待ち構えていたのだ。

これを見ずして、ロックを語るなかれ!(前 むつみ/通訳・翻訳家、元スローハンドクラブ副会長)

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