うさぎでもわかる解析 Part27 2重積分の応用(体積・曲面積の求め方)
また、積分範囲は\[r^2 \leqq a^2, \ \ \ r \sin \theta \geqq 0 , \ r \cos \theta \geqq 0\]となり、\( r \geqq 0 \) のため、\[0 \leqq r \leqq a, \ \ \ \sin \theta \geqq 0, \ \cos \theta \geqq 0\]となり、変換後の積分範囲 \( D' \) は\[D' = \left\< (r,\theta) \ \middle| \ 0 \leqq r \leqq a, \ 0 \leqq \theta \leqq \frac \ \right\>\]となりますね。
よって、\[\begin &\iint_D \sqrt < a^2 - x^2 - y^2>\ dxdy\\ = & \iint_ r \sqrt < a^2 - r^2 >\ drd \theta\\ = & \int^a_0 r \sqrt < a^2 - r^2 >\ dr \cdot \int^< \frac >_ 1 \ d \theta\end \]を計算すればよい。
よって、球の体積 \( V \) は\[\beginV & = 8 \iint_D \sqrt < a^2 - x^2 - y^2>\ dxdy\\ & = 8 \cdot \frac \pi a^3\\ & = \frac \pi a^3\end \]となり、題意は満たされた。
余談ですが、\[\int^a_0 r \sqrt < a^2 - r^2 >\ dr = - \frac \left[ - \frac (a^2 - r^2)^< \frac > \right]^a_0\]のように途中で置換積分の省略公式を適用させています。
2.曲面積(表面積)
2重積分を用いた曲面積(表面積)公式2変数関数 \( z = f(x,y) \geqq 0 \) で与えられる立体の曲面の面積 \( S \) は\[S = \iint_D \sqrt< 1 + \left( \frac \right)^2 + \left( \frac \right)^2 > \ dxdy\]で求めることができる。ただし、領域 \( D \) は立体の底面である。
曲面積を求めるにあたって、\( x \), \( y \) をそれぞれ \( \Delta x \), \( \Delta y \) だけ 微小変化させることで作った微小な面積の平行四辺形 を考えます。
曲面 \( z = f(x,y) \) で与えられた面を微小な平行四辺形に分割し、分割した平行四辺形の面積の総和をとり、極限を取ったものが曲面積となります。
(\( i \) 番目の \( x \), \( y \), \( \Delta x \), \( \Delta y \) をそれぞれ \( x_i \), \( y_i \), \( \Delta x_i \), \( \Delta y_i \) とし、\( x_i \), \( y_i \), \( \Delta x_i \), \( \Delta y_i \) からできる微小な平行四辺形の面積を \( S_i \) としています。)
例題2半径 \( a \) の球の表面積は\[4 \pi a^2\]である。これを二重積分を用いて示しなさい。
解説2まずは球の式 \( x^2 + y^2 + z^2 = a^2 \) を \( z = f(x,y) \geqq 0 \) の形にしましょう。すると、\[z = f(x,y) = \sqrt< a^2 - x^2 - y^2>\]となりますね。
つぎに例題1とおなじように球の対称性を利用します。つまり、\( x \) 軸, \( y \) 軸, \( z \) 軸の正の部分からなる図形の表面積を求め、最後に8倍します。
積分範囲が円なので、極座標変換\[x = r \cos \theta , \ \ \ y = r \sin \theta \]\[ \left( r \geqq 0, \ \ 0 \leqq \theta \leqq 2 \pi \right)\]を行いましょう。
極座標変換のヤコビアン \( J \) は \( r \) となるので、\[dxdy = r \ dr d \theta\]でしたね。
また、積分範囲は\[r^2 \leqq a^2, \ \ \ r \sin \theta \geqq 0 , \ r \cos \theta \geqq 0\]となり、\( r \geqq 0 \) のため、\[0 \leqq r \leqq a, \ \ \ \sin \theta \geqq 0, \ \cos \theta \geqq 0\]となり、変換後の積分範囲 \( D' \) は\[D' = \left\< (r,\theta) \ \middle| \ 0 \leqq r \leqq a, \ 0 \leqq \theta \leqq \frac \ \right\>\]となりますね。
3.練習問題
練習1円柱 \( x^2 + z^2 = a^2 \) の \( x^2 + y^2 \leqq a^2 \) にある部分の体積 \( V \) と表面積 \( S \) を求めなさい。
練習2球 \( x^2 + y^2 + z^2 = 1 \) の \( x^2 + y^2 \leqq x \) にある部分の体積 \( V \) と表面積 \( S \) を求めなさい。
4.練習問題の答え
解答1円柱の式 \( x^2 + z^2 = a^2 \) を \( z = f(x,y) \geqq 0 \) の形にすると、\[z = f(x,y) = \sqrt\]となる。
また、\( x \) 軸, \( y \) 軸, \( z \) 軸それぞれに対して図形の対称性があるので、体積、表面積ともに \( x \geqq 0 \), \( y \geqq 0 \), \( z \geqq 0 \) の部分を求めてから答えを8倍にすればよい。
体積の導出ここで積分領域 \( D \) が円なので極座標に置きたくなるが、極座標にしてしまうと \( f(x,y) \) の部分が計算しにくくなるので今回は極座標には変換しない。
ここで、\[y^2 \leqq a^2 - x^2\]である。さらに \( y \geqq 0 \) より、\[0 \leqq y \leqq \sqrt\]となる。さらに \( x \geqq 0 \) かつ \( a^2 - x^2 \geqq 0 \) (ルートの中身は0以上)なので、\[0 \leqq x \leqq a\]となる。よって、積分範囲は\[D = \ < (x,y) \ \mid \ 0 \leqq x \leqq a , \ 0 \leqq y \leqq \sqrt\>\]と書き換えることができる。
表面積の導出 解答2球の式 \( x^2 + y^2 + z^2 = 1 \) を \( z = f(x,y) \geqq 0 \) の形にすると、\[z = f(x,y) = \sqrt\]となる。
また、体積に関しては \( z \) 軸に対して図形の対称性があるので、\( z \geqq 0 \) の部分を求めてから答えを2倍にすればよい。
( \( x \) 軸に対しては図形の対称性がないので間違えて答えを8倍にしないこと。なお、\( y \) 軸に対しても対称性を適用させてもOK。)
また、表面積に関しては \( z \) 軸に加え、\( y \) 軸に対して図形の対称性があるので、\( z \geqq 0 \), \( y \geqq 0 \) の部分を求めてから答えを4倍にすればよい。
表面積の場合、体積の場合と異なり \( y \geqq 0 \) を無視すると正しい答えが出ないので注意してください。
体積の導出積分範囲を変換するため、極座標変換\[x = r \cos \theta , \ \ \ y = r \sin \theta \]\[ \left( r \geqq 0, \ \ - \pi \leqq \theta \leqq \pi \right)\]を行う。
極座標変換のヤコビアン \( J \) は \( r \) となるので、\[dxdy = r \ dr d \theta\]が成立する。
また、積分範囲は\[r^2 \leqq r \cos \theta\]となり、\( r \geqq 0 \) のため、\[r \leqq a \cos \theta , \cos \theta \geqq 0\]となります( \( \cos \theta \geqq 0 \) に要注意。)
よって、体積 \( V \) は\[\beginV & = 2 \iint_D \iint_D \sqrt < 1 - x^2 - y^2>\ dxdy\\ & = 2 \left( \frac - \frac \right)\\ & = \frac \pi - \frac\end \]となる。
表面積の導出対称性に注意しましょう。\( y \geqq 0 \), \( z \geqq 0 \) の両方の対称性を用いないと正しい答えが出せません。
5.さいごに
*1 : 省略のため\[F(\Delta x) = f(x + \Delta x, y) - f(x,y) \\F(\Delta y) = f(x, y +\Delta y) - f(x,y)\]としています。
*2 : \( | \sin \theta |^3 \) は偶関数なのを積分計算の途中で利用している。
また、ウォリスの公式から、\[\int^< \frac >_ < 0 >\sin^3 \theta \ d \theta = \frac\]を導き出している。わからなければ3倍角の公式から\[ \begin &\int^< \frac >_ < 0 >\sin^3 \theta \ d \theta\\ = & \ \frac \int^< \frac >_ < 0 >3 \sin \theta - \sin 3 \theta \ d \theta\\ = & \ \frac \left[ - 3 \cos \theta + \frac \cos \theta \right]^< \frac >_< 0 >\\ = & \ \frac \left( 3 - \frac \right)\\ = & \ \frac \cdot \frac\\ = & \ \frac\end \]と導いてもOK。
公開日: 2019年11月4日 更新日: 2021年7月16日 この記事を書いた人 コメント一覧 t 2020-07-11 14:16:22 返信 突然すみません。解説1の「それぞれの積分の値は~」に続く積分の式についてもう少し詳しく教えてもらうことは可能でしょうか?どのように式変形が進んでいるのかがイマイチわかりません…よろしくお願いします。 momoyama1192 2020-07-12 20:22:29 返信>>tさん解説1の「それぞれの積分の値は…」部分の計算は、置換積分の省略公式を適用しています。(省略公式を使わない場合は t = sqrt(a^2-r^2) とおくことで計算をすることができます。)詳しくはこちらの記事の例題2を参考にしてください。うさぎでもわかる解析(高校数学・数3) Part07 置換積分:(中身の微分が被積分関数に含まれている場合の)置換積分の省略技https://www.momoyama-usagi.com/entry/math/analysis07
y 2020-12-02 08:05:09 返信 関連記事 うさぎでもわかる線形代数 第04羽 余因子を用いた逆行列・行列式の求め方 うさぎでもわかる計算機システム Part14 Unixのファイルシステム その1(絶対パス・相対パスの違い) 線形代数:マーク式試験の裏技第1弾 90分で復習! 信号処理公式総まとめ うさぎでもわかる画像処理 Part01 コンピュータとデジタル画像 うさぎでもわかる確率・統計 F分布のいろは① 母分散の比の区間推定 うさぎでもわかる微分方程式 Part08 未定係数法を用いた定数係数線形微分方程式の特殊解の求め方 うさぎでもわかる解析(高校数学・数3) Part06 部分積分(部分積分の連鎖公式:ブンブン・瞬間部分積分) うさぎでもわかる複素解析 Part5 ローラン展開・特異点の4つの分類 うさぎでもわかる離散数学(グラフ理論) 第15羽 最大フロー・最小カットの求め方カテゴリー
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