PUFFYの「これが私の生きる道」におけるThe Beatlesのオマージュについて
「Ticket to Ride」「I Want to Hold Your Hand 」「That's Means A Lot」「From Me to You」「A Hard Day's Night」「All My Loving」「She Loves You」「Day Tripper」「It Won't Be Long」「Mr.Moon Light」「Nowhere Man」「I'm Happy Just Dance With You」「Please Please Me」「Twist and Shout」 「No Reply」
サイトで分析されていた楽曲を総括してみると、オマージュ元とされている楽曲は驚異の15曲。個人的にパッと聴いて分かったのは「Day Tripper」と「Please Please Me」のリフの部分のオマージュくらいであった。で、他の曲に関しては、分析していたサイトを見てからThe Beatlesの曲を聴いてみてようやく「ああ、確かに元ネタになっている!」と合点をした具合である。そしてその時というのは、よくわからない嬉しさと笑いが込み上げてきた。それにしても、本格的にこの曲を分析するとなるととんでもない時間がかかりそうである。分析している先人達には頭が上がらない思いである——。
そんなことはさておき、そんなヒップ・ホップのサンプリング"的"な作り方によって、曲の8割ぐらいはThe Beatlesでできていると言っても過言ではない。それでもJポップ感、そして奥田民生節のようなものがしっかりと残されている。そして、これこそが作曲者奥田の妙、常人ではない所以なのである。この曲がもしも、The Beatlesの継ぎ接ぎをしただけの曲だったら——下手をすると"パクリ"であるとか"盗作"だとか言われてしまっていたかもしれない。そして20年後にこうして語られることの無い、駄作に成り下がってしまっていたはずだ。だが、この曲ではAメロ、Bメロ、サビという王道のJポップの構成の土台を構えたうえで、アクセントを加えるかのごとくThe Beatlesで色付けが施されている。そして、そんなサウンドと構成には、奥田の得意とするフラット(♭)をするような独特なメロディーラインが乗せられる。それが"パクリ"とは一線を画す工夫や対策というほどでもないが、一定の距離感や線引きをする奥田のある種のこだわりのように見てとれる。
この曲では、そんなオマージュをあからさまに登場させている部分もあるが(とはいえ、そんなあからさまに分かるような部分でも、音程を微妙にずらしたりしている)、大半はパッと一回だけ聴いただけでは分からないような絶妙な場所にオマージュが仕込まれている。それは、奥田と同じようにThe Beatlesが好きな人だったら分かる、ちょっと知っている人でも、元になった曲を教えてもらえば分かるという効果をもたらす。当然ながら、The Beatlesを知らない人にとっては、ステレオな音源でオールディーズな楽曲だと思われるだけであろう。先ほど、この曲におけるThe Beatlesのオマージュの発見に際して"よくわからない嬉しさと笑いが込み上げてきたという風に書いたが、これこそが、この曲の持つ"副次的な面白さ"なのではないだろうか。ある意味で"隠しトラック"とか、友達に教えられたゲームの非公式な"裏ワザ"のようなものに近いのかもしれない。