赤い殺意(1964年)
解説 封建的なところがあった頃の東北を舞台に、古い因習の重圧に苦しむ小心な女が、ある事件を契機に強い女へと変わっていくさまをどっしりと描いた今村映画の真骨頂。「にあんちゃん」が文部省推薦になり、あまりの恥ずかしさにもっと“まじめな”ものを作ろうと企画したというのがいかにも今村らしい。古い家族制度の中でいちばん下におかれ、いつもビクビクしながら生活している貞子。小心な大学職員の夫が留守の夜、眠っていた彼女は強盗に犯された。一度は死のうと思った貞子だが、なかなか死ねずにあきらめる。その後も強盗はやってきて関係を持つうちに、本気で貞子を愛するようになる。心臓を病む強盗は、最初は暴力で犯したのに、やがて哀願に変わる。貞子は強盗に殺意を抱くが、自分が手を下す前に男は病死。そして強くなった彼女は家族の中で主婦の座を確立するのだった……。地味な題材を暗くせずに、女性の心奥に隠れているバイタリティーさ、生命力の噴出を描いて、今村節が冴えわたる重喜劇。
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