Lascia ch’io pianga(私を泣かせてください):歌詞、対訳、ピアノ伴奏他
レチタティーヴォ Armida, dispietata! colla forza d’abisso rapimmi al caro Ciel di miei contenti, e qui con duolo eterno viva mi tiene in tormento d’inferno. Signor! Ah! per pietà lasciami piangere.
アリア Lascia ch’io pianga la dura sorte e che sospiri la libertà. Il duolo infranga queste ritorte de’ miei martiri sol per pietà.
オペラ《リナルド》の台本と歌詞が異なる「私を泣かせてください(Lascia ch’io pianga)」は オペラ《リナルド》 の中のアリアです。 オペラでは、 アリアの前に登場人物どうしの会話 がレチタティーヴォで描かれます。
レチタティーヴォオペラの台本では、 レチタティーヴォ最後の主への祈り「Signor! Ah! per pietà lasciami piangere.(神様、ああ! どうか涙を流すことをお許しください。)」がありません 。 バロックオペラの登場人物たちは 往々 おうおう にしてギリシャ神話の神々の名は出すのですが、「主よ」という祈りは口にしません。 神聖な神の名を劇場で出すことは 憚 はばか られたので、当時の台本作家たちは書かなかったそうです。
アリアアリアの歌詞は一部異なっています。 全音版では「la dura sorte(つらい運命)」の箇所が、オペラアリアでは「mia cruda sorte(私の残酷な運命)」と歌われます。 全音版のヴァージョンは、ヘンデルのオリジナルのオペラスコアではなく、19世紀にヨーロッパで出回っていた楽譜を参考にしているようです。
「私を泣かせてください(Lascia ch’io pianga)」の対訳
レチタティーヴォ アルミーダ、冷酷な女! 冥府の力で私を誘拐した、 あの喜びにあふれた美しい空で。 そしてここで、終わらない苦しみと共に 私を地獄の苦しみの中で生き永らえさせるとは。 神様、ああ! どうか涙を流すことをお許しください。
アリア 苦しい運命に泣くがままにさせて下さい そして自由に焦がれることをお許し下さい 悲しみが、私の苦悩の枷を打ち砕きますように ただ憐みのために。
イタリア語歌詞、単語の解説日常語ではない単語に注釈をつけます。 バロックオペラのアリアは、日常生活では聞かないイタリア語がたくさん登場します。 「地獄の覇者よ・・・!」みたいなノリで、今の言葉でいえば中二病っぽい単語が散見する感じ。過去記事「オンブラマイフ以外にもヘンデルの《セルセ》には魅力的なアリアがたくさんあるよ」を読んでいただくと、バロックオペラの詩の雰囲気が伝わると思います!
dispietata
現代のイタリア語だと、spietata。 「無慈悲な、無情な、冷酷な」という形容詞です。つまりは「pietà (情け)」がない状態。
abisso
rapimmi
rapimmiは、rapì + mi。動詞rapireの遠過去形とmi(私を、私に)が結合した形です。 rapireは「奪う、誘拐する」の意味。
infrangare
動詞 ingrangare は「破る、壊す」などの意。
ritorte
ritorte は ritorta 「拘束するための縄や紐」の複数形
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「私を泣かせてください」の無料楽譜
パブリックドメインの楽譜を無料でダウンロードできるサイト「IMSLP ペトルッチ楽譜ライブラリー」 を紹介します。
オペラスコア(総譜)をダウンロードする方へ 「私を泣かせてください(Lascia ch’io pianga)」は第二幕(Atto secondo)の第4場(Scena Ⅳ)です。 全音版の楽譜に近いバージョンは「Vocal Scores」タブからダウンロードできます。 楽譜 イタリア歌曲集 1(中声用)(新版)「私を泣かせてください(Lascia ch’io pianga)」の作曲家
「私を泣かせてください」の作曲家は、ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(1685-1759)。バロック時代後期に活躍したオペラやオラトリオの作曲家として有名です。 ドイツ出身ですが主にイギリスで活動しました。
オンブラ・マイ・フOmbra mai fù(ヘンデル《セルセ》より)歌詞と解説 オンブラマイフ(Ombra mai fù)の歌詞の意味や日本語訳、無料楽譜を紹介しました。また声楽勉強中の方に向けて作曲家ヘンデルについてや、歌い方のポイントも解説。ピアノ伴奏や発音も載せています。 velvettino.netオペラ《リナルド》について
「私を泣かせてください(Lascia ch’io pianga)」はオペラ《リナルド》の中で、アルミレーナという女性の登場人物が歌うアリアです。
オペラ《リナルド》が初演されたころのロンドン当時 イタリアは音楽の流行最先端 の地。そこからやってきたヘンデルが作曲したイタリア語のオペラは、流行に敏感なロンドンの聴衆に拍手喝采で受け入れられました。
私を泣かせてください(Lascia ch’io pianga)は焼き直し?「私を泣かせてください(Lascia ch’io pianga)」は、ローマで上演されたオラトリオ『時と悟りの勝利』の中の”快楽”のアリア「棘はいいから薔薇をお摘み(Lascia la spina cogli la rosa)」によく似ています。
このアリアを歌う役は「快楽(Piacere)」。このオラトリオの登場人物(?)は、美、快楽、時、悟りです。 カトリックの中心地ローマではオペラの上演が禁止されていたので、このような寓話劇が演じられていました 。
だから、上記のチェチーリア・バルトリのアルバムのタイトルは「禁じられたオペラ(Opera proibita)」なのです。 オペラ禁止時代のローマで作曲された、ヘンデルやカルダーラの美しい音楽がたくさん含まれています 。
Opera Proibita:チェチーリア・バルトリ僕は「私を泣かせてください(Lascia ch’io pianga)」より「棘はいいから薔薇をお摘み(Lascia la spina cogli la rosa)」のほうが好きだなあ。 享楽的な詩が官能的でそそられるねっ!
お探しのページが見つかりません | 音と波のノート velvettino.net アマゾンの学割サービス「Prime Student」のメリットと登録方法 Prime Stundentの登録方法を図解で分かりやすく解説。Prime Stundent会員だけの特典や、書籍を10%引きで購入する方法についても説明しています。 velvettino.net オペラ《リナルド》のあらすじ《リナルド》のあらすじは、十字軍の英雄リナルドが、イスラム教国の王やその恋人の魔女と戦うというもの。 「私を泣かせてください(Lascia ch’io pianga)」を歌う アルミレーナはリナルドの婚約者 。リナルドが遠征から戻ったら結婚を誓っています。
しかしアルミレーナは幸せのさなか、敵国の魔女アルミーダに誘拐されてしまいます。 囚われの身となったアルミレーナの美しさに、敵国の王アルガンテが惹かれて口説き始めるけれど、アルミレーナは婚約者であるリナルド一筋。
アルミレーナの美しさをほめたたえながら、でも解放するわけにはいかないと言うアルガンテに対して歌う のが「私を泣かせてください(Lascia ch’io pianga)」。
「私を自由にしてくださらないなら、せめて放っておいて。 愛する人と幸せな時間を過ごしていたのに突然さらわれた、私のこの悲惨な運命にただ涙を流させて」 オペラ《リナルド》のCDオペラ《リナルド》はたくさん録音が出ています。 チェンバロ奏者、指揮者としてだけでなく、音楽学者としても名高いクリストファー・ホグウッドが指揮を振っている録音 も。
Handel: Rinaldo(ホグウッド指揮)アルミレーナを歌うのは「棘はいいから薔薇をお摘み(Lascia la spina cogli la rosa)」の試聴でも取り上げたチェチーリア・バルトリ。タイトルロールのリナルド役は、カウンターテナーのデイヴィッド・ダニエルズです。
と、ツッコミたくはなるものの、やっぱりうまいし、ホグウッドの音楽解釈は信頼できるし、よい録音だと思います。 ホグウッドはヘンデルに関する分厚い書籍も出しています。 音楽的な面だけでなく、ヘンデルの人柄も伝わってくるような良書 。読みごたえあっておすすめですよ。
「私を泣かせてください」を歌うときのポイント
歌うときのポイントを、レチタティーヴォ、Aパート、Bパートに分けて解説します。 もし可能なら、 Da capoして歌うAパートには装飾を加えましょう 。
レチタティーヴォ- まず楽譜通り歌えるようにします。 退屈でも、 音程とリズムを正確に 、歌詞を入れずにアなど歌いやすい母音で歌ってみましょう。
- 音程とリズムを体が覚えたら歌詞を入れます。まだ、崩さずに楽譜通り。
- イタリア語の歌詞をしゃべってみて、 言葉のフレーズ感を生かせるようにリズムを速くしたり、引き延ばしたり してみます。 自然なイタリア語のニュアンスを知ることが必要なので、指導してくださる先生に表現豊かに音読していただき雰囲気をつかみましょう!
歌うためにイタリア語発音を磨きたいなら 『伝統のイタリア語発音―オペラ・歌曲を歌うために 』 がおすすめ。 CD付きなので耳からもしっかり学べます。
『伝統のイタリア語発音―オペラ・歌曲を歌うために』ルイージ・チェラントラ、小瀬村 幸子 (著)日本語で読める本なのに、イタリアの音楽院の先生から勧められてびっくり。著者のチェラントラさんと先生が知り合いだったのにゃ。
A部分 歌いだしの「Lascia ch’io pianga」Lascia ch’io piangaの歌い出し。フレーズの途中に休符が。
(楽譜はIMSLP ペトルッチ楽譜ライブラリー よりChrysander版オペラスコア)
アリアの歌い出しの言葉、「Lascia ch’io pianga」は意味的にも、話し言葉で考えても途中で切らずに言う方が自然です。にも関わらずフレーズの途中に休符が書かれているので、これは表現のためだと考えましょう。
だから この休符ではブレスを取ったりせず、息は流したままで歌う べし。
跳躍するフレーズ「e che sospiri」Lascia ch’io piangaの楽譜、9~12小節
「e che sospiri」を2回繰り返す箇所は、1度目は6度の跳躍、2度目は4度の跳躍ですが、短い中で音域の広いフレーズとなっています。 フレーズの最初の音 Laは中音域ですが、口蓋を下げずに歌い始めましょう 。
またフレーズの最高音Solについている単語は「Che」。エ母音で高音が歌いにくいときは、口を横に引いている可能性があります。なるべく 縦に開ける イメージで。
B部分バロックオペラのアリアでは、 A部分とB部分の表現にコントラストを付ける ことが多いです。 このアリアの場合は、AもBも嘆いているのですが、差を出すとしたら、
- A部分は自由への憧れの涙
- B部分はより苦悩を歌う
声の上に違いを出すとしたら、 Aのほうがやわらかく、Bは厳しめに 、というところでしょうか。
- 姿勢を確認。 首が前に出ていないか、肩が前側に入って胸がせまくなっていないか、骨盤が寝ておなかを突き出すような立ち方になっていないか 、など。
- 息はたっぷり吸えているか? 必要な量をはいて歌っているか?
- 喉に無駄な力を入れていないか? 舌根やのどぼとけをチェック。
など確認してみましょう。 高音の発声についてもっと詳しく知りたい方は「高い声を出す方法、声楽の頭声の出し方」を読んでみてください。
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