うさぎでもわかる線形代数 第16羽 対角化
1つ例を出してみると、標準基底に関する \( f \) の表現行列が\[A = \left( \begin 5 & 1 \\ 2 & 4 \end \right)\]のとき、標準基底同士から\[\vec = \left( \begin 1 \\ -2 \end \right) \ \ \ \vec = \left( \begin 1 \\ 1 \end \right) \]同士に変えた線形変換 \( f \) の表現行列 \( B \) を求めるような問題です。
標準基底から基底を変えたときの表現行列は、基底変換行列\[P = \left( \vec, \vec \right)\]を用いて\[B = P^ AP = \left( \begin 3 & 0 \\ 0 & 6 \end \right)\]と計算できます。
このように、 基底を変えると当然表現行列も変わります ね。
対角化とは、 線形変換 \( f \) をなるべく簡単に表現できるような(正則な)基底変換行列 \( P \) をうまく選び、 \( P^ AP \) が対角行列になるようにすること をいいます。
2.対角化のメリット
対角化を行うことで、線形変換 \( f \) の様子がわかりやすくなります。
先ほどと同じ表現行列\[A = \left( \begin 5 & 1 \\ 2 & 4 \end \right)\]で表される標準基底に関する線形変換 \( f \) を考えましょう。
この行列を標準基底 \( \vec \), \( \vec \) を用いると、\[\begin\left( f( \vec), f( \vec ) \right) = & \left( \vec, \vec \right) \left( \begin 5 & 1 \\ 2 & 4 \end \right) \\ = &(5 \vec + \vec, 2 \vec + 4 \vec)\end\]\[ f(x \vec + y\vec) = (5x+y) \vec + (2x+4y) \vec\]となり、少し複雑な形になってしまいますね。
では、\( P^ AP \) が対角行列となるような基底を\[\vec = \left( \begin 1 \\ -2 \end \right) \ \ \ \vec = \left( \begin 1 \\ 1 \end \right) \]\[ P = \left( \vec, \vec \right) \]に変えてみましょう。
すると、\[ P^ AP = \left( \begin 3 & 0 \\ 0 & 6 \end \right)\]になりますね。
\[\begin\left( f( \vec), f( \vec ) \right) = & \left( \vec, \vec \right) \left( \begin 3 & 0 \\ 0 & 6 \end \right) \\ = &(3 \vec, 6 \vec)\end\]\[ f(a \vec + b \vec) = 3a \vec + 6b \vec\]とより単純な形で表現ができるので、線形変換 \( f \) をより簡単に把握できます。
3.対角化の方法
正則な行列 \( P \) をうまく選び \( P^ AP \) が対角化されるような行列の求め方について説明していきます*1。
固有値が \( t \), 固有ベクトルが \( \vec
\) のとき、\[A \vec
= t \vec
\]という関係式が成り立ちます。この関係式をうまく使って対角化をしていきます。
例題1\[A = \left( \begin 3 & 2 \\ 1 & 4 \end \right)\]を対角化しなさい。
解説1固有値が2のときの固有ベクトルを \( \vec \)、固有値が-2のときの固有ベクトルを \( \vec \) とする。このとき、\[A \vec = 2 \vec \ \ \ A \vec = -2 \vec\]が成り立ちます。
ここで、\[ P = \left( \vec, \vec \right) \]とすると、\[ \beginAP & = A \left( \vec, \vec \right)\\ & = \left( A \vec, A \vec \right)\\ & = \left( 2 \vec, -2 \vec \right)\\ & = \left( \vec, \vec \right) \left( \begin 2 & 0 \\ 0 & -2 \end \right) \\ & = P \left( \begin 2 & 0 \\ 0 & -2 \end \right)\end \]となります*2。
ここで、\[D = \left( \begin 2 & 0 \\ 0 & -2 \end \right)\]とすると、\[AP = PD \]となりますね。さらに両辺の左側に \( P^ \) を掛けると\[P^ AP = P^ P D = D = \left( \begin 2 & 0 \\ 0 & -2 \end \right)\]となり、対角化できますね。
本当に対角化できているか計算してみましょう。\[ \beginP^ & = \frac \left( \begin 5 & -1 \\ -1 & 1 \end \right) \left( \begin 3 & 2 \\ 1 & 4 \end \right) \left( \begin 1 & 1 \\ 1 & 5 \end \right)\\ & = \left( \begin 2 & 0 \\ 0 & -2 \end \right)\end \]となり、うまく対角化ができていることがわかりますね。
対角化 行列 \( A \) の固有値、固有ベクトルの組が \( ( t_1 , \vec ) \), \( ( t_2 , \vec) \), … \( ( t_n , \vec) \) のとき、正則行列 \( P \) を用いて、対角行列 \( D = P^ AP \) を用いて
2次正方行列の場合
\[ P = \left( \vec, \vec \right) \ \ \ D = \left( \begin t_1 & 0 \\ 0 & t_2 \end \right) \]
3次正方行列の場合
\[ P = \left( \vec, \vec, \vec \right) \ \ \ D = \left( \begin t_1 & 0 & 0 \\ 0 & t_2 & 0 \\ 0 & 0 & t_3 \end \right) \]
\( n \) 次正方行列の場合
\[ P = \left( \vec, \vec, \vec, \cdots, \vec \right) \ \ \D =\left(\begint_1 & 0 & \ldots & 0 \\0 & t_2 & \ldots & 0 \\\vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\0 & 0 & \ldots & t_n\end\right)\]と対角化できる。
それぞれの行列 \( P \) と対角化された行列 \( D \) の各列が固有値、固有ベクトルと対応している *3ことを頭に入れておきましょう。
(固有値と固有ベクトルの並べ方の順番には制限はありません。たとえば、\[P = \left( \vec, \vec, \vec \right) \ \ \ D = \left( \begin t_1 & 0 & 0 \\ 0 & t_2 & 0 \\ 0 & 0 & t_3 \end \right)\]となっているものを\[P = \left( \vec, \vec, \vec \right) \ \ \ D = \left( \begin t_1 & 0 & 0 \\ 0 & t_3 & 0 \\ 0 & 0 & t_2 \end \right)\]としてもOKです。)
4.対角化可能の条件
正方行列 \( P \) を用いて行列 \( A \) を対角化しますが、この正方行列 \( P \) を作成するためには、サイズの数と同じ数だけの固有ベクトルが必要です*4。
なので、 \( n \) 次正方行列 \( A \) を対角化をするためには、合計 \( n \) 本の固有ベクトルが求められる必要 があります。
対角化可能条件 \( n \) 次正方行列 \( A \) から \( n \) 本の固有ベクトルを求められるとき、行列 \( A \) は対角化可能である。 対角化可能条件(重解ごとの場合分け)1:\( n \) 次正方行列 \( A \) の固有値に重解がない場合*5→対角化できる
2:\( n \) 次正方行列 \( A \) の固有値が \( n \) 重解の場合*6→対角化不可能*7(\( A - tE \) が \( O \) になる場合を除く)
3:\( n \) 次正方行列 \( A \) の固有値に \( n \) 重解ではないが重解が含まれる場合*8→実際に固有ベクトルをしらべ、重解の数だけ固有ベクトルが出てくれば対角化可能
固有ベクトルは、 それぞれの固有値から少なくとも1つは求められる ため、もし固有値に重解がなければ(すべてバラバラの固有値であれば)必ず対角化を行うことができます。
実際に、対角化可能かどうかを判定する際には、 重解がある固有値に対して、固有ベクトルが重解の数だけ求められることを確認 すればOKです。(重解が大きい方から調べていくことをおすすめします。)
例題2(1) \[ \left( \begin 2 & 1 \\ -1 & 4 \end \right) \]
(2) \[ \left( \begin 1 & -1 & -1 \\ 2 & 4 & 2 \\ 0 & 0 & 2 \end \right) \]
解説2- 固有値を調べる
- 重解がある固有値に対してのみ固有ベクトルを調べる
- すべての重解がある固有値に対し、重解の数だけ固有ベクトルが出せれば対角化可能、 1つの重解に対してでも 重解の数だけの固有ベクトルがでなければ対角化できない。
固有方程式は、\[\begin|A-tE| = & \left| \begin 2-t & 1 \\ -1 & 4-t \end \right|\\ = & (t-4)(t-2) + 1 \\ = & t^2 - 6t + 9 \\ = & (t-3)^2 = 0\end \]より固有値は3(2重解)
固有値が3のときの固有ベクトルは、\[ \begin(A-3E) = &\left( \begin -1 & 1 \\ -1 & 1 \end \right) \\ \to \ &\left( \begin 1 & -1 \\ 0 & 0 \end \right)\end \]となる。\[x - y = 0\]を解くと、任意定数 \( k \) を用いて\[\left( \begin x \\ y \end \right) = k \left( \begin 1 \\ 1 \end \right)\]と表せるので、固有ベクトルは1本あり、固有ベクトル \( \vec \) は、\[\vec = \left( \begin 1 \\ 1 \end \right)\]となる。
固有方程式は、\[\begin|A-tE| = & \left| \begin 1-t & -1 & -1 \\ 2 & 4-t & 2 \\ 0 & 0 & 2-t \end \right|\\ = & (2-t) \left| \begin 1-t & -1 \\ 2 & 4-t \end \right|\\ = & (2-t) \left( (t-4)(t-1) + 2 \right)\\ = & (2-t) \left( t^2 - 5t +6 \right)\\ = & (2-t) (t-2)(t-3)\\ = & - (t-2)^2 (t-3)\end \]より固有値は2(2重解)、3となる。
固有値が2のときの固有ベクトルは、\[ \begin(A-2E) = &\left( \begin -1 & -1 & -1 \\ 2 & 2 & 2 \\ 0 & 0 & 0 \end \right) \\ \to \ &\left( \begin 1 & 1 & 1 \\ 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \end \right)\end \]となる。\[x + y + z = 0\]を解く(自由度2)と*9、任意定数 \( s,t \) を用いて\[\left( \begin x \\ y \\ z \end \right) = s \left( \begin 1 \\ -1 \\ 0 \end \right) + t \left( \begin 1 \\ 0 \\ -1 \end \right)\]と表せるので、固有ベクトルは2本あり、固有ベクトル \( \vec \), \( \vec \) は、\[\vec = \left( \begin 1 \\ -1 \\ 0 \end \right), \ \ \ \vec = \left( \begin 1 \\ 0 \\ -1 \end \right)\]となる(順不同)。
固有値が3のときの固有ベクトルは、\[ \begin(A-3E) = &\left( \begin -2 & -1 & -1 \\ 2 & 1 & 2 \\ 0 & 0 & -1 \end \right) \\ \to \ &\left( \begin -2 & -1 & 0 \\ 2 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end \right) \\ \to \ &\left( \begin 2 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \\ 0 & 0 & 0 \end \right)\end \]となる。\[\left\< \begin 2x + y = 0 \\ z = 0 \end\right.\]を解くと、任意定数 \( k \) を用いて\[\left( \begin x \\ y \\ z \end \right) = k \left( \begin 1 \\ -2 \\ 0 \end \right)\]と表せるので、固有ベクトルは2本あり、固有ベクトル \( \vec \) は、\[\vec = \left( \begin 1 \\ -2 \\ 0 \end \right)\]となる。
よって、固有値2の固有ベクトル \( \vec \), \( \vec \) および固有値3の固有ベクトル \( \vec \) を用いて、\[ P = \left( \vec, \vec , \vec\right) \]とすると、\[ \beginAP & = A \left( \vec, \vec, \vec \right) \\ & = \left( 2 \vec, 2 \vec, 3 \vec \right) \\ & = \left( \vec, \vec \right) \left( \begin 2 & 0 & 0 \\ 0 & 2 & 0 \\ 0 & 0 & 3 \end \right) \\ & = P \left( \begin 2 & 0 & 0 \\ 0 & 2 & 0 \\ 0 & 0 & 3 \end \right)\end \]となります。
ここで、\[D = \left( \begin 2 & 0 & 0 \\ 0 & 2 & 0 \\ 0 & 0 & 3 \end \right)\]とすると、\[AP = PD \\P^ AP = D = \left( \begin 2 & 0 & 0 \\ 0 & 2 & 0 \\ 0 & 0 & 3 \end \right)\]となる。
よって、正則行列 \( P \) を用いて\[P = \left( \begin 1 & 1 & 1 \\ -1 & 0 & -2 \\ 0 & -1 & 0 \end \right) \ \ \ P^ AP = \left( \begin 2 & 0 & 0 \\ 0 & 2 & 0 \\ 0 & 0 & 3 \end \right)\]と対角化できる。
5.対角化の検算
対角化の計算は比較的簡単に検算を行うことができます。ですが、\[P^ AP = D\]で検算を行う場合、逆行列 \( P^ \) を求める必要があるため、計算がかなりめんどくさいです。
行列 \( A \) を正則行列 \( P \) を用いて対角化した結果が\( D \) となる対角化の検算は、\[AP = PD\]が成立するかどうか確かめればよい(成立すれば計算が合っている)。
6.練習問題
練習1次の行列\[A = \left( \begin 2 & -5 \\ -6 & 1 \end \right)\]が対角化可能かどうか判定しなさい。さらに対角化可能な場合は正則な行列 \( P \) を用いて \( P^ AP \) を対角行列にしなさい。
練習2次の行列\[A = \left( \begin -1 & -9 & -3 \\ 2 & 8 & 2 \\ -3 & -9 & -1 \end \right)\]が対角化可能かどうか判定しなさい。さらに対角化可能な場合は正則な行列 \( P \) を用いて \( P^ AP \) を対角行列にしなさい。
練習3次の行列\[A = \left( \begin 3 & -1 & 2 \\ 1 & 1 & 2 \\ -1 & 1 & 0 \end \right)\]が対角化可能かどうか判定しなさい。さらに対角化可能な場合は正則な行列 \( P \) を用いて \( P^ AP \) を対角行列にしなさい。
7.練習問題の答え
解答1固有値を \( t \) とすると、固有方程式は、\[\begin|A-tE| = & \left| \begin 2-t & -5 \\ -6 & 1-t \end \right|\\ = & (t-1)(t-2) - 30\\ = & t^2 - 3t - 28\\ = & (t-7)(t+4) = 0\end \]より固有値は-4, 7となる。
固有値が7のときの固有ベクトルは、\[ \begin(A-7E) = &\left( \begin -5 & -5 \\ -6 & -6 \end \right) \\ \to \ &\left( \begin 1 & 1 \\ 0 & 0 \end \right)\end \]となる。\[x + y = 0\]を解くと、任意定数 \( k \) を用いて\[\left( \begin x \\ y \end \right) = k \left( \begin 1 \\ -1 \end \right)\]と表せるので、固有ベクトル \( \vec \) は、\[\vec = \left( \begin 1 \\ -1 \end \right)\]となる。
固有値が-4のときの固有ベクトルは、\[ \begin(A+4E) = &\left( \begin 6 & -5 \\ -6 & 5 \end \right) \\ \to \ &\left( \begin 6 & -5 \\ 0 & 0 \end \right)\end \]となる。\[6x - 5y = 0\]を解くと、任意定数 \( k \) を用いて\[\left( \begin x \\ y \end \right) = k \left( \begin 5 \\ 6 \end \right)\]と表せるので、固有ベクトル \( \vec \) は、\[\vec = \left( \begin 5 \\ 6 \end \right)\]となる。
よって、固有ベクトル \( \vec \), \( \vec \) を用いて、正則行列 \( P \) を\[P = \left( \vec, \vec \right) = \left( \begin 1 & 5 \\ -1 & 6 \end \right)\]とすると、\[P^ AP = \left( \begin 7 & 0 \\ 0 & -4 \end \right) = D\]と対角化できる。
[検算]
固有値の検算:(対角成分の和)=(固有値の総和)= 3 を確かめればOK
\[AP = \left( \begin 2 & -5 \\ -6 & -1 \end \right) \left( \begin 1 & 5 \\ -1 & 6 \end \right) = \left( \begin 7 & -20 \\ -7 & -24 \end \right) \\PD = \left( \begin 1 & 5 \\ -1 & 6 \end \right) \left( \begin 7 & 0 \\ 0 & -4 \end \right) = \left( \begin 7 & -20 \\ -7 & -24 \end \right)\]より \( AP = PD \) となり、対角化もうまくできていることがわかる。
練習2固有値を \( t \) とすると、固有方程式は、\[\begin|A-tE| = & \left| \begin -1-t_ & -9_ & -3_ \\ 2 & 8-t & 2 \\ -3 & -9 & -1-t \end \right|\\ = & \left| \begin 2-t & 0 & -2+t \\ 2 & 8-t & 2 \\ -3 & -9 & -1-t \end \right|\\ = & (2-t) \left| \begin 1 & 0 & -1 \\ 2_ & 8-t & 2_ \\ -3_ & -9 & -1-t_ \end \right|\\ = & (2-t) \left| \begin 1 & 0 & 1 \\ 0 & 8-t & 4 \\ 0 & -9 & -4-t \end \right|\\ = & (2-t) \left| \begin 8-t & 4 \\ -9 & -4-t \end \right|\end \]となる。
さらに、\[\begin &\left| \begin 8-t & 4 \\ -9 & -4-t \end \right|\\ = & (t+4)(t-8) + 36\\ = & t^2 - 4t + 4\\ = & (t-2)^2 = 0\end \]となるので、\[\begin|A - tE| & = (2-t)(t-2)^2 \\ = & -(t-2)^3 = 0\end \]を満たす \( t \) が固有値となり、固有値は2(3重解)となる。
ここで 3重解… 怪しいな… ジィー (。・_・。) と思ってください。(対角化不可能な香りがすることが察せたら対角化慣れてきた証です!)
\[ \begin(A-2E) = &\left( \begin -3 & -9 & -3 \\ 2 & 6 & 2 \\ -3 & -9 & -3 \end \right) \\ \to \ &\left( \begin 1 & 3 & 1 \\ 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \end \right)\end \]となる。\[x + 3y + z = 0\]を解く(自由度2)*10と、任意定数 \( s,t \) を用いて\[\left( \begin x \\ y \\ z \end \right) = s \left( \begin 1 \\ 0 \\ -1 \end \right) + t \left( \begin 3 \\ -1 \\ 0 \end \right)\]と表せるので、固有ベクトルは2本あり、固有ベクトル \( \vec \), \( \vec \) は、\[\vec = \left( \begin 1 \\ 0 \\ -1 \end \right), \ \ \ \vec = \left( \begin 3 \\ -1 \\ 0 \end \right)\]となる(順不同)。
練習3固有値を \( t \) とすると、固有方程式は、\[\begin|A-tE| = & \left| \begin 3-t & -1 & 2 \\ 1_ & 1-t_ & 2_ \\ -1 & 1 & -t \end \right|\\ = & \left| \begin 3-t & -1 & 2 \\ 0 & 2-t & 2-t \\ -1 & 1 & -t \end \right|\\ = & (2-t) \left| \begin 3-t & -1_ & 2_ \\ 0 & 1 & 1 \\ -1 & 1_ & -t_ \end \right|\\ = & (2-t) \left| \begin 3-t & 0 & 3 \\ 0 & 1 & 1 \\ -1 & 0 & -t-1 \end \right|\\ = & (2-t) \left| \begin 3-t & 3 \\ -1 & -t-1 \end \right|\end \]となる。
さらに、\[\begin &\left| \begin 3-t & 3 \\ -1 & -t-1 \end \right|\\ = & (t+1)(t-3) + 3\\ = & t^2 -2t\\ = & t(t-2) = 0\end \]となるので、\[\begin|A - tE| & = t(2-t)(t-2) \\ = & -t(t-2)^2 = 0\end \]を満たす \( t \) が固有値となり、固有値は0、2(2重解)となる。
\[ \begin(A-2E) = &\left( \begin 1 & -1 & 2 \\ 1 & -1 & 2 \\ -1 & 1 & -2 \end \right) \\ \to \ &\left( \begin 1 & -1 & 2 \\ 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \end \right)\end \]となる。\[x - y + 2z = 0\]を解く(自由度2)と、任意定数 \( s,t \) を用いて\[\left( \begin x \\ y \\ z \end \right) = s \left( \begin 1 \\ 1 \\ 0 \end \right) + t \left( \begin 2 \\ 0 \\ -1 \end \right)\]と表せるので、固有ベクトルは2本あり、固有ベクトル \( \vec \), \( \vec \) は、\[\vec = \left( \begin 1 \\ 1 \\ 0 \end \right), \ \ \ \vec = \left( \begin 2 \\ 0 \\ -1 \end \right)\]となる(順不同)。
固有値が0のときの固有ベクトルは、\[ \begin(A-3E) = &\left( \begin 3_ & -1_ & 2_ \\ 1 & 1 & 2 \\ -1_ & 1_ & 0_ \end \right) \\ \to \ &\left( \begin 0 & -4 & -4 \\ 1 & 1_ & 2_ \\ 0 & 2_ & 2_ \end \right) \\ \to \ &\left( \begin 0 & 1 & 1 \\ 1 & 0 & 1 \\ 0 & 0 & 0 \end \right) \\ \to \ &\left( \begin 1 & 0 & 1 \\ 0 & 1 & 1 \\ 0 & 0 & 0 \end \right)\end \]となる。\[\left\< \begin x + z = 0 \\ y + z = 0 \end\right.\]を解くと、任意定数 \( k \) を用いて\[\left( \begin x \\ y \\ z \end \right) = k \left( \begin 1 \\ 1 \\ -1 \end \right)\]と表せるので、固有ベクトルは1本あり、固有ベクトル \( \vec \) は、\[\vec = \left( \begin 1 \\ 1 \\ -1 \end \right)\]となる。
よって、固有ベクトル \( \vec \), \( \vec \), \( \vec \) を用いて、正則行列 \( P \) を\[P = \left( \vec, \vec, \vec \right) = \left( \begin 1 & 2 & 1 \\ 1 & 0 & 1 \\ 0 & -1 & -1 \end \right)\]とすると、\[P^ AP = \left( \begin 2 & 0 & 0 \\ 0 & 2 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \end \right) = D\]と対角化できる。
[検算]
固有値の検算:(対角成分の和)=(固有値の総和)= 4 を確かめればOK
\[AP = \left( \begin 3 & -1 & 2 \\ 1 & 1 & 2 \\ -1 & 1 & 0 \end \right) \left( \begin1 & 2 & 1 \\ 1 & 0 & 1 \\ 0 & -1 & -1 \end \right) = \left( \begin 2 & 4 & 0 \\ 2 & 0 & 0 \\ 0 & -2 & 0 \end \right) \\PD = \left( \begin 1 & 2 & 1 \\ 1 & 0 & 1 \\ 0 & -1 & -1 \end \right) \left( \begin 2 & 0 & 0 \\ 0 & 2 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \end \right) = \left( \begin 2 & 4 & 0 \\ 2 & 0 & 0 \\ 0 & -2 & 0 \end \right)\]より \( AP = PD \) となり、対角化もうまくできていることがわかる。
8.さいごに
対角化の計算後に \( AP = PD \) を使って正しい答えが得られているかを検算する癖をつけておくと、多少時間はかかるかもしれませんが対角化が正しくできていることを確証できますよ。
対角化を用いた応用問題として、行列の \( n \) 乗を求めたり、漸化式(差分方程式)を解いたりすることができるので、余裕があれば紹介をしてみたいと思います。
*1 : 正則な行列 \( P \) を選ばないと逆行列 \( P^ \) が存在しないため。
*2 : 固有値 \( t \) と固有ベクトル \( \vec
\) の関係式\[A \vec
= t \vec
\]を使っている。
*3 : 行列 \( P \) の1列目が \( \vec \) だとすると行列 \( D \) の1列目の対角成分には \( t_1 \) が来るように列ごとに固有値と固有ベクトルがペアになっている。
*4 : \( A \), \( P \) が2次正方行列なら2本の固有ベクトルが、3次正方行列なら3本の固有ベクトルが、\( n \) 次正方行列なら \( n \) 本の固有ベクトルが必要。
*6 : 例えば3次正方行列の固有値が3,3,3の場合、3重解となるので \( n = 3 \) のときのこのパターンとなります
*7 : \( n \) 次正方行列から \( n \) 個の固有ベクトルを出すためには、行列の階数が0となる必要があるが、行列の階数が0の行列はゼロ行列以外存在しないため、基本的に対角化不可能である。
公開日: 2019年8月30日 更新日: 2022年5月15日 この記事を書いた人 コメント一覧 コメントはありません。 関連記事 うさぎでもわかる線形代数 補充4 クラメルの公式 うさぎでもわかる計算機システム Part05 論理回路の基本編 [基本情報対応] 離散数学 述語論理の補足+演習問題 うさぎでもわかる計算機システム Part14 Unixのファイルシステム その1(絶対パス・相対パスの違い) うさぎでもわかる確率・統計 t分布のいろは② 母平均の仮説検定 うさぎでもわかるネットワーク Part04 LAN / WAN 1週間で完成! うさぎでもわかる確率分布と統計的な推測 5日目 母集団の標本調査・中心極限定理 うさぎでもわかる信号処理 第04羽 ディジタルシステムの極・零点と安定性 LINE Pay クレジットカード、事前案内の事前登録開始!! うさぎでもわかる線形代数 第17羽 直交行列を用いた対角化カテゴリー
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