ナレーションもBGMもない――YouTubeチャンネル『Alone in Japan』が映し出す日本のひとり暮らし
日置 YouTubeのタイトルには、必ず「ただ眺める、日本のひとり暮らし。」という言葉を入れています。スマートフォンが普及し、誰もが常に情報に触れられる便利な時代ですが、一方で中毒的になり、無意識にストレスを感じている……。そういう人たちが世界中にいるのではないかという仮説を立てました。そんな人たちが思考を休めて、ただぼーっとできる時間を提供したい……。それがこのチャンネルの一番の需要なのではないかと思っています。
日置 基本的には自分の知り合いです。知り合いのさらに知り合いといった数珠つなぎですね。ただ、顔出しでプライベートな空間を撮影させてくれる人がいるのかという不安はありました。
日置 あのリールは想定外で、あんなに反響があるとは思っていなかったんですよね。特に海外の方からの反応が多かったです。
日置 コメント欄を見て自分なりに解釈した結果、日本のわびさび文化を理解している層と、単に孤独で寂しいと受け取る層とで二極化していると感じました。そういった点が物議を醸し、反響があったのかなと思います。
――「日本でひとり暮らし」という意味では、まさに『Alone in Japan』ですね。撮り方などで注意している点や、こだわっている点はありますか?
日置 日常生活の中でカメラを向けられることは、普通の人にはあまりないですよね。そのため、一番気をつけているのは、普段どおり生活してもらうことです。カメラの前ではどうしても体がこわばったり、不自然になったりしてしまう。日常の空気を壊さないように撮るにはどうしたらいいかという点は、常に意識しています。
日置「100%自然体」はありえないと思っていますが、できる限りそれに近づけたい。そのために、事前にどのように普段のルーティンを過ごしているのかをヒアリングしてから、カメラを回しています。
「いい家、いい車」がゴールだった時代の終焉
日置 特定の建物でなければならないというわけではありませんが、古い建物のほうが物語を感じやすいので、無意識にそう選んでいるのかもしれません。
日置 あとは、基本的にはひとり暮らしで、空気感がマッチする方ですね。事前に細かく条件を聞いているわけではないのですが、自分の世界や夢を持っている方は多い気がします。一言でいえば「バイブスが合う」という感覚ですね。
日置 いわゆる豪華な生活には、もうお腹いっぱいという感覚があるのかもしれません。「そこを目指すことが本当に正解なのか?」という疑問が時代的に出てきている気がします。だからこそ、周りにどう思われても本当に好きなものは好きでいいじゃないか、というスタンスに共感してくれる方がいるのではないでしょうか。自分自身が特にそう思っています。
日置 フォロワー数や登録者数を伸ばすことよりも、この世界観に共感してくれる方が増えていくことが一番うれしいです。本業が忙しく時間が足りないのが悩みですが、まずはコンスタントに毎月作品を届けていきたいですね。今はマネタイズを強く意識しているわけではありませんが、持続するためにも世界観を壊さない形で少しずつつなげていけたらいいなと思っています。