ABS樹脂プラスチックの特性特徴や強度・成形・加工・用途・耐熱温度
ABS樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene/ABS)は、1947年にブレンド型ABS樹脂が「クララスチック」のネームではじめて工業化されました。当時はじめて工業化を行ったのは、アメリカにあるU.S.Rubberという会社のNaugatuck Chemical D.Vでした。1954年には同じくアメリカにあるMarbon Chemical社が「サイコラック」のネームでグラフト型ABSを販売し始めました。ちなみに、今はグラフトブレンド法が主流になっています。日本では1963年に海外からテクノロジーを導入し、生産を開始しました。
ABS樹脂(ABS)の化学式
ABS樹脂(ABS)の製造方法
先に書いたように、製造方法は3つあり①ブレンド方法 ②グラフト方法 ③グラフトブレンド方法 があります。①ブレンド方法については、アクリロニトリルとブタジエンを組合せNBRをつくり、そのNBRとアクリルニトリルとスチレンを組合せたASを合わせ、ブレンド法によってABS樹脂を製造します。②グラフト法については、アクリルニトリルとスチレンとブタジエンを組合せてBRをつくり、グラフト法によりABS樹脂を製造します。最後に③グラフトブレンド法については、先程のASとBRをグラフトブレンド法によりABS樹脂を製造を行います。
ABS樹脂(ABS)の特長・特性
- 耐薬品性(酸、アルカリ)に優れる。但し、有機溶剤には弱い。
- 加工性が良いため、押出し・インジェクション・ブロー・真空圧空・カレンダー成形加工が可能。また、切削、溶接、接着、印刷、ホットスタンプやメッキ、塗装などが可能です。特に金型を使った加工には、ABS樹脂プラスチックが頻繁に使用されています。そして、最近では3Dプリンタ製品でも加工性が良いためにABS樹脂が多く採用されています。
- 寸法安定性が良く、経時変化によるサイズ変化が少ない
- 表面光沢性が良い(外観性に優れます)。例えば、テレビ筐体でピアノブラック調の成形品を要望されるケースがありますが、ABS樹脂はその光沢感のある外観とピアノブラック色調に優れているため、塗装レスで採用されることがあります。
- 顔料を入れることによる着色性が良い
- 耐候ABSでない限り、耐候性が良くありません。耐候性を持たせたABS樹脂を使用したい場合は、ASA樹脂をおすすめします。
- 一般的な耐薬品性に劣る。また有機溶剤に弱い。
- 難燃グレードでない限り、可燃性です
- インジェクション成形においてウェルドラインが発生しやすいです。また厚肉箇所でボイドやヒケが起こりやすいです。このヒケ対策として、PC/ABS系樹脂プラスチックを使用すると解決する場合があります。
熱変形温度について、ABSは汎用プラスチックのためポリ塩化ビニルやアクリル、ポリエチレンなどと同等に熱変形温度が低いです(94~107℃)。ABS樹脂より若干熱変形温度が高いプラスチックはポリプロピレンであり、【 ★★★ 〜 ★★★★ 】になると、ポリアセタールやポリカーボネート、ナイロン6、ナイロン66などがあります。また【 ★★★★★ 】になると、フェノール樹脂やPEEKなどのスーパーエンプラの領域となります。
耐薬品性の特性比較 ※汎用プラ・エンプラとの比較 耐アルカリ性 耐酸性 耐有機溶剤性 寸法安定性の特性比較 吸水率 線膨張係数 機械的強度特性の特性比較 引張強さ・圧縮強さ・曲げ強さ 衝撃強さ 耐摩耗性ABS樹脂は、耐摩耗性に弱いです。摺動用部材を選定する場合は、ABS樹脂・ポリ塩化ビニル < ナイロン樹脂・ポリアセタール < ポリフェニレンサルファイド(PPS)・PEEK の順に選定すると良いでしょう。
価格コストの比較ABS樹脂(ABS)の成形加工方法
押出し成形加工 / 射出インジェクション成形加工 / ブロー成形加工 / 真空成型加工 / 圧空成形加工 / カレンダー成形加工 など
ABS樹脂(ABS)の成形加工条件
項目 単位 値 射出成形温度 ℃ 177~316 圧縮成形温度 ℃ 149~230 成形収縮率 % 0.3~0.8ABS樹脂(ABS)の基本物性表
物理的性質 項目 単位 値 比重 – 0.99~1.15 ロックウェル硬度(D785法) – R30~118 吸水率 % 0.1~0.8 機械的性質 項目 単位 値 引張り強さ(D638/651法) Kg/㎠ 170~630 曲げ強さ(D790法) Kg/㎠ 250~950 引張弾性率(D638法) 10^4kg/㎠ 0.7~2.9 圧縮強さ(D695法) Kg/㎠ 180~770 衝撃強さ アイゾット Kg・cm/cm 3.8~66 熱的性質 項目 単位 値 線膨脹係数(D696法) 10^-5/℃ 6~13 熱伝導度(C177法) 10^-4cal/sec・cm/℃・cm 4.6~8.6 連続耐熱温度 ℃ 60~110 熱変形温度(D648) 18.5Kg/cm^2 ℃ 94~107 燃焼性 – 可燃性 電気的性質 項目 単位 値 絶縁破壊強さ(D149法) kV/mm 12.2~16.1 体積固有抵抗 Ω/cm 10^16以上 誘電率 10^3~(D150法) – 2.4~4.75ABS樹脂(ABS)の用途例
- 電子機器などのハウジングや電化製品
- 自動車関係のインストルメントパネルや躯体など
- 試作品、雑貨、玩具
- 学校で使うリコーダー楽器
ABS樹脂(ABS)の用途画像
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