. 85(後編) - 孤独のクラシック ~私のおすすめ~
85(後編) - 孤独のクラシック ~私のおすすめ~
85(後編) - 孤独のクラシック ~私のおすすめ~

孤独のクラシック ~私のおすすめ~

クラシックおすすめ曲のご紹介と、歴史探訪のブログです。クラシックに興味はあるけど、どの曲を聴いたらいいのか分からない、という方のお役に立ちたいです。(下のメニューは横にスライドしてください)

トップ > ベートーヴェン > イエスの受難に重ねた自分の運命。ベートーヴェン:オラトリオ『オリーブ山上のキリスト』作品85(後編)

イエスの受難に重ねた自分の運命。ベートーヴェン:オラトリオ『オリーブ山上のキリスト』作品85(後編)

自分で企画した作品

ベートーヴェンオラトリオ『オリーブ山上のキリスト』の続きです。

イエスが捕縛される直前に、自分が十字架にかけられる運命を予知し、死の恐怖と、神の意思によって人類のために犠牲になるという使命との間で、苦悩する場面を音楽化したものです。

イエスの、『神は自分に、人類を救えと使命を与えておきながら、なぜ凄惨な死に追いやるのか』という思い。

ベートーヴェンの、『神は自分に、人々に感動を与える類まれな音楽の才能を与えておきながら、なぜ一番大切な聴覚を奪うのか』という思い。

なぜオラトリオか

この曲は、ベートーヴェン唯一の『オラトリオ』です。

ヘンデルのものが有名ですが、この時期はハイドン『天地創造』の人気がヨーロッパを席巻していて、弟子ベートーヴェンが自作を比べているととられるようなことを言って、師ハイドンをムッとさせたエピソードは前述しました。

オペラの話をベートーヴェンに持ち掛けたのは、興行師エマニュエル・シカネーダー

彼はかつてモーツァルトと組んでオペラ『魔笛』を上演したことで有名です。

オペラの題は『ヴェスタの火』といいましたが、例によってシカネーダーの台本は通俗的で、ストーリーも『魔笛』と同様破綻気味だったので、到底ベートーヴェンの芸術性とは相容れず、作曲途中で破談になってしまいます。

後年、唯一のオペラ『フィデリオ(レオノーレ)』を作曲しますが、これも夫を救う英雄的な妻、という高尚なテーマで、娯楽を求める観衆からの支持を得るには、ベートーヴェンの意に反して何度も書き直しを余儀なくされました。

本当に〝やっつけ〟の作品か?

数年後に出版するときに、ベートーヴェンは『2週間程度』で作曲した、と出版社に書き送っています。

ベートーヴェンが、『ハイリゲンシュタットの遺書』に綴った苦悩を具現化した作品として貴重ですし、音楽も素晴らしいので、これから見直しが進んでいくのではないでしょうか。

ベートーヴェン:オラトリオ『オリーブ山上のキリスト』作品85 第4曲 セラフィムのレチタティーヴォ

セラフィム(ソプラノ)

おののけ、大地よ!

主の御子がここに横たわっている。

その顔は深く塵の中に圧され、

父から完全に見捨てられ、

言語に絶する苦難を忍んでいる。

善なる者、その御方は非業の死を遂げる

覚悟ができている。

それによって、その御方が愛する人間たちは、

死から蘇り、そして永遠、永遠に生きる。

第5曲 セラフィムのアリアと天使たちの合唱

セラフィム(ソプラノ)

讃えよ、救い主の御心を。

讃えよ、人間たちよ、その恩寵を。

その御方は汝らのため、愛ゆえに死に赴く。

その御方の血は汝らの罪を贖う。

(天地たちの合唱とセラフィムの交唱)

おお、幸あれ、汝らに、汝ら救われし者たちに。

汝らを至福が待ち受ける、

汝らが神の仲介者の教えに忠実であるならば。

しかし、悲しい哉!

無礼者たちが血を汚している。

それは彼らのために流されしもの。

彼らを審判者の怒りが見舞う、

劫罰が彼らの運命なのだ。

第6曲 イエスとセラフィムのレチタティーヴォ

イエス(テノール)

セラフィムよ、告げてくださいますか?

私に永遠の父の憐れみを。

あの御方は死の恐ろしさを私から取り除いてくださるのでしょうか?

セラフィム(ソプラノ)

主はかく語りき。

贖いの聖なる秘蹟が成就しないうちは、

長きにわたり人類は地獄に堕ち、

そして永遠の生命は奪われる。

第7曲 イエスとセラフィムの二重唱

イエス(テノール)

ならば、下したまえ、厳かに、

私の上に、父よ、あなたの審判を。

注ぎたまえ、私に苦しみの嵐を。

ただ、アダムの子孫を恨みたもうな。

セラフィム(ソプラノ)

心動かされて、私は崇高なる者を見る、

死の苦しみに包まれているのを。

私は震えている、そして墓場のおぞましさが私を包む。

それはその御方が感じているもの。

ふたり

大きいのは苦悩、不安、恐怖。

神の御手が私(彼)の上に注がれる。

しかし、さらに大きいのは私(彼)の愛、

私(彼)の心でこの世を抱く。

第8曲 イエスのレチタティーヴォ

イエス(テノール)

ようこそ、死よ!

そして私は十字架上で

人々の救いのため、血を流しつつ死にゆく。

おお、汝らの冷たい墓穴のなかで祝福あれ。

それを永遠の眠りがその両腕でつかんでいる。

汝らは喜んで至福に目覚めるだろう。

第9曲 兵士たちの合唱

兵士たち

我らは奴がこの山に向かっていくのを見たぞ。

左に道を取れ。

奴はすぐそばにいるに違いない。

第10曲 イエスのレチタティーヴォ

イエス(テノール)

私を捕らえ、引き立てようとする者たちが

いま近づいてくる。

わが父よ!

おお、速やかに導いてください。

受難の時が私のところを通り過ぎて、消え失せるように。

暴風が雲を追い立てて、

あなたの天空に引っ張られるように。

しかし、私の意思ではありません、違います!

御心のみ行われますように。

第11曲 兵士と弟子たちの合唱

兵士たち

奴がここにいるぞ、追放者が。

民の中で大胆にも

ユダヤの王と名乗った者が。

奴を捕らえて縛れ。

弟子たち

あの騒ぎは何だ?

我々はもうダメだ!

戦士たちに取り囲まれている!

どうなってしまうのだろう?

第12曲 ペテロとイエスのレチタティーヴォ

ペテロ(バス)

罰せられずには済まないぞ

大胆不敵な軍団め

あなた、輝かしき人、あなた、わが友にして主なる人を

無礼な手で捕らえるとは。

イエス(テノール)

おお、お前の剣をさやに納めなさい!

もしわが父の御心が

敵の暴力から私を救うことならば

天使の軍勢がすぐにも私を救い出しにくるだろう。

第13曲 三重唱

ペテロ(バス)

私の血管には渦巻いています、

抑えられない怒りと憤りが。

私に復讐させてください、大胆な者の血で。

イエス(テノール)

復讐してはならない。

私はお前たちにひたすら教えたはず、

すべての人を愛しなさいと。

敵を喜んで許しなさいと。

セラフィム(ソプラノ)

耳を澄ましなさい、おお、人よ、

そして聞きなさい。

ただ神の口だけがこのような聖なる教えを告げるのだ、

隣人愛を。

イエスとセラフィム

おお、人の子らよ、守りなさい、この聖なる掟を。

愛するのだ、お前たちを憎む者を。

それだけを好むのだ、お前の神は。

ペテロ

私の血管には渦巻いています、

抑えられない怒りと憤りが。

私に復讐させてください、大胆な者の血で。

第14曲 兵士と弟子たちの合唱

兵士

立て、起きろ!

裏切り者を捕まえろ、

ここにもうこれ以上留まるな!

さあ先へ、この罪人とともに

奴を急いで裁きに引っ張っていくのだ。

弟子たち

ああ!

我らは彼のために憎まれ、追われるだろう。

我らは捕まり、拷問にかけられ、

そして死に委ねられるだろう。

イエス

私の苦しみはやがて消え、

救済の仕事は成就する。

まもなくすべては乗り越えられ、

そして冥土の力が勝利する。

第15曲 天使たちの合唱 第16曲 天使たちのフーガ クラシック音楽と歴史の解説。若き日のベートーヴェンのエピソ… クラシック音楽と歴史の解説。若き日のベートーヴェンのエピソ… クラシック音楽と歴史の解説。ベートーヴェン(ベートーベン)… クラシック音楽と歴史の解説。バッハ『クリスマス・オラトリオ… クラシック音楽と歴史の解説。バッハ『クリスマス・オラトリオ… プライバシーポリシー

DoubleClick Cookie を使用することにより、GoogleやGoogleのパートナーは当サイトや他のサイトへのアクセス情報に基づいて、適切な広告を当サイト上でお客様に表示できます。

お客様は下記のGoogleアカウントの広告設定ページで、インタレスト ベースでの広告掲載に使用される DoubleClick Cookie を無効にできます。また aboutads.info のページにアクセスして頂き、インタレスト ベースでの広告掲載に使用される第三者配信事業者のCookieを無効にできます。

📎📎📎📎📎📎📎📎📎📎