日本で一番美味しいフナの刺身について4,000字くらいかけて熱く語り倒したい
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www.outdoorfoodgathering.jp読者の皆様曰く「ありゃあペットだ」「池にいるのを見たことがある」「食べられるとは聞いたことあるけど、臭いゲテモノなんでしょ?(鮒ずしからの連想っぽい)」etc… ちなみに先日お世話になった釣りビジョンのディレクターさん(専門はヘラブナ釣り)も「フナって食べられるんですか!?」という反応をされていました。 __________________________ここでいったんCM。 茸本が外道魚を本気で調理する「異端のグルメ」シリーズ全6話、釣りビジョンVODにて好評公開中です。 釣りビジョンは最初の2週間、無料でお試し視聴が可能! よろしければぜひこの機会にご覧くださいませ!!  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ コイですら「食べたことあります、美味しいですよね」「うちの地域では食べてましたよ」という反応もあったのに、フナに関してはほとんどない! 日本の淡水魚釣り2大ターゲットであるフナとコイですが、食材としての知名度には天と地ほどの差があるといってもいいでしょう。 しかしね、味としては申し訳ないけど、それこそフナとコイには天地の差がある。別にコイがまずいというわけではないですよ、そうじゃなくて、フナが美味しすぎるんです。 フナの美味しさは全魚の中でもトップクラスのものと思っておりまして、よいフナが手に入るなら遠征をする価値は十二分にあります。
「うまいったってどうせ珍味としてでしょ、つくだ煮とか」ですって!? ノンノン、最高のフナはね、そんな食べ方したらもったいない。 最高のフナの美味しい料理法は、お刺身なんですよ。
- 刺身用のフナは「汽水域」で採れる
- 宍道湖のフナ刺身&子まぶりを食べてみた
刺身用のフナは「汽水域」で採れる
フナを刺身になんて! と驚く人も多いと思いますが、その話をする前に「美味しいフナの条件」という話をさせてください。 最高のフナとはなんぞや、という話は人により無限の定義があると思いますが、ここでいうそれは「臭みがなく、脂がのっていて美味しい寒のギンブナ」を指します。 ギンブナはマブナとも呼ばれ、フナ類のもっともオーソドックスな種です。日本中の河川や湖、池沼に生息していますが、他の淡水魚の例にもれず、フナも生息地によってその味の良さが大きく変わります。 しかし、例えばアユやコイであれば、水質の良い場所で採れたものが美味しいのですが、ギンブナの場合は面白いことに川の河口や海につながる湖といった「汽水域」で採れたものが美味しいという特徴があります。もとよりあまりきれいな水ではなく多少濁りがある富栄養な水域を好む魚であるフナですが、汽水域はエサとなるプランクトンが豊富なので彼らにはよい環境なのでしょう。なおかつ多少の塩分を含んでいる汽水には、淡水に生息するゲオスミン生成菌が棲息しづらいために「泥臭さ」が発生しないというメリットもあります。 過去に三重県松阪、千葉県市川などの汽水域で釣ったものを食べたことがありますが、いずれも大きくてよく太り美味でした。特に後者は江戸川なんですが、臭みもほとんどなく美味しかった記憶があります。 こういうところのフナを刺身にすると、海の魚をもしのぐほどの美味しさがあります。独特のぷりぷりしこしこした食感の肉を噛み締めると、脂の甘みがぶわっと広がるあの味は、他に似たものがほとんどありません。冬のアイゴやニザダイから磯臭さを取り去ったらちょっと近くなるかな…… コイ目の魚って実は脂がめちゃくちゃ旨くて、しかも生じゃないとその真価があまりわかりません。だからコイも一番人気があるのは洗いだし、ハクレンなんかも千葉の水郷地区では洗いにします。 フナを刺身に、と聞くと「寄生虫やばそうじゃん」と思う方もいると思いますが、汽水域のフナやコイは純淡水域の寄生虫である顎口虫等の感染率が低いという仮説があります。実際に、フナを生食する地域でも、これらの寄生虫による感染症の発症率が優位に高いといったようなデータはないようです。 まあアニサキスよりは危険性が低いと考えてもよいのではないでしょうか。 しかし、そんな「汽水域のフナ」の中にも、さらに細かい味の格差が存在する、とのこと。フナが美味しいということすら初耳という人には「マジでどうでもいい」情報かもしれないですが、ここでこだわるのが我々のアイデンティティなのでお付き合いください。 「最も美味しいギンブナ」が採れるのはどこか。 先日金魚を分けてくださったふな先生によると「山陰地方の汽水域で採れるもの」が別格の美味しさを持っているのだそうです。その味のよさゆえに「もしかしたら普通のギンブナとは別の、地域性の亜種の一つかもしれない」ともささやかれるほどで、当地では大変人気の高い魚となっているそう。
これらの条件を満たす産地の一つが、島根県にある日本有数の汽水湖、宍道湖。 「宍道湖七珍」と呼ばれる魚介類が有名ですが、フナも盛んに漁獲されています。 宍道湖のフナは特に出雲平野で高い人気があり、旬の時期の刺身は取り合いになるほど人気が高いのだそうです。
宍道湖のフナ刺身&子まぶりを食べてみた
美味しそうな半身ですね! 血合いがややボラのような色合いをしているものの、全体的にはタイみたいな見た目です。 皮下脂肪がべっとりと貼りついていてとても美味しそう。
これには当然卵も入っているので 濃い目の塩水で茹でて水を切ってほぐしておきます。 切り身を半分ずつに分けて、半分はそのまま もう半分は茹でた卵を絡めて
完成! 宍道湖産寒ブナの刺身&子まぶりです。 「子まぶり」とは刺身に火を通した卵をまぶすというもので、フナの子まぶりは岡山などでよく作られています。 出雲地方名産? の甘い醤油をつけて、いただきまーす ……(≧∀≦)うまーい!! 身がぶりんぶりんで、かむとジャキジャキ言うほど。これはもちろん活きが良いということもありますが、それ以上に「ゼラチン質が豊富で弾力がある」というのが大きいと思います。 当地ではフナ刺しを作るとき、活けであることを何よりも尊重するといいますが、この弾力を全力で楽しむためでしょう。 一方で、あまりに活きの良すぎる状態の刺身はうま味があまり感じられないものですが、宍道湖のフナに関してはもともとうま味が強いためかこの時点でもかなり美味です。もちろん寝かせればより強くなるのでしょうが、そうするとこのブリンブリン食感が失われてしまうというジレンマ。。 甘い醤油にはアミノ酸がいっぱい添加されており、これも足りないうまみを補うという考え方に即したものでしょう(西日本は熟成していない刺身にうまみの強い醤油をつけて食べるのを好む傾向がある)。
味:★★★★★ 入手難易度:★★★★☆ 山陰、遠い…… 太郎さんありがとうございました!
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そんなに美味しい魚が養殖されないとは勿体ない(´・ω・`) コメントをキャンセル サイト内検索はこちら Youtubeやってます! cakesで連載していた 「野食ハンターの七転八倒日記」 が本になりました! 書き下ろしもたっぷり です!! ↑↑画像をクリックするとAmazonのページに飛びます↑↑●茸本朗 初の単著 「野食のススメ -東京自給自足生活-」 が発売されました!! リアル書店でも、紀伊国屋さま、丸善さま、三省堂さま、八重洲ブックセンターさまなどの各店舗で目立つところに並べていただいています。 よろしければぜひ一度、手に取ってみてくださいませ。 (ジセダイサイト内で試し読みも可能です)
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