ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」
二楽章、リハーサルで対立したまま本番を迎えて、これだけの演奏ができるものなのか、よく歌われていて美しい。テンポを遅めて濃厚な表現。トランペットの白玉が突き抜けてきます。 強弱の振幅も広いので、特に金管の奏者にしてみれば、厄介な指揮者だったのでしょう。まさに咆哮! この凶暴な指揮者が円熟していたとしたら、どんな音楽をうみだしたのだろう。せめてあと7~8年長く指揮活動を続けていてくれたらと悔やまれてなりません。
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団一楽章、モノラルなので脳天をティンパニのマレットでスコーンと二発叩かれたような快感(^ ^; 音楽の高揚にともなってテンポが凄く加速するのはさすがに興奮させられます。 スタジオ録音なのに、このテンションの高さは何だ! 人生最初に買ったLPがこれだったことは、不幸なことにフルトヴェングラーのテンポの動きの特徴が分からないまま聴いていたということで、今回、多分20年ぶりぐらいに聴きなおしてはじめて凄さを理解できました。 モノラルであることを除けば、音質は最近の録音と比べても大きく落ちてはいません。多少のザラつきはありますが、そんなことよりも音楽の凄さに圧倒されます。 やはりテンポの動きは尋常ではありません。アッチェレランドが強烈に音楽のテンションを高めます。もの凄い音楽を聴いています。これはただ事ではない!
ホルスト・シュタイン/ベルリン・ドイツ交響楽団★★★★★ 一楽章、音楽がぎゅーっと詰まっている感じがして、一音一音に重みがあります。アクセントもバーンと来る感じではなく、ズーンとくる感じでドイツ音楽らしいです。 音楽の重心が低くて風格を感じさせる演奏です。 オケの響きもマットで渋い響きで、この演奏に非常によく合っています。艶っぽいクラリネットのソロが魅力的でした。 オケの響きが渋い分、ffでは轟音のような凄みがあります。これはすごい「英雄」に出会ったという歓びの気持ちでいっぱいです。 彫りの深い男性的なしかも大人の「英雄」の最右翼の演奏だと思います。
二楽章、冒頭は引きずるような重さです。ホルスト・シュタインはこの楽章に自分自身を重ねているのだろうか。かみ締めるようにじっくりと、味わい深い音楽が時間が止まったかのようにゆっくりゆっくり流れて行きます。 自分自身の生涯を思い返しながらの演奏のように感じられてなりません。葬送行進曲でありながら、慈しむような優しさが溢れています。 これだけテンポが遅くても音楽が弛緩しません。むしろこのテンポが緊張感を高めているのかもしれません。 非常に味わい深い演奏でした。
実に潔い演奏で、気持ちが良い。 静かに、拍手がはじまって、フェードアウトするときにブラボーが聞こえてきました。 まさにそんな演奏でした。演奏が終わってもすぐに拍手するよりも、余韻を楽しみたい演奏でした。 また、すばらしい「英雄」に出会いました。
朝比奈 隆/大阪フィルハーモニー管弦楽団★★★★★ 一楽章、新日本poとのライブより数年後の録音です。 適度にホールトーンを含んだ美しい音で録られています。新日本poとの録音よりも残響成分が少ないようで、楽器それぞれの音がよく聞こえます。 新日本poとの演奏で感じた自然体の雄大さよりも艶やかで艶めかしい演奏のように感じます。歳は重ねていますが、生気に満ち溢れています。 それでいて、巨匠の風格も兼ね備えた堂々と正攻法の「英雄」の演奏になっています。 友人が朝比奈の大ファンなので、一連の朝比奈のCDは友人から借りて聞いているのですが、朝比奈がこんなにすばらしいベートーヴェンを演奏していたとは想像もしていませんでしたので、大変嬉しい驚きでした。 木管楽器の生き生きとして瑞々しい表情なども、とても魅力的です。 激しく凶暴な演奏ではないけれど、どっしり構えた王者の風格さえ感じられる、すばらしい演奏です。 十分な熱気もあり音楽が高揚します。金管の咆哮もなかなかのものです。音楽の彫りの深さは、旧盤よりも、こちらの方が上です。
二楽章、非常に重々しい葬送行進曲です。歌にも溢れています。重々しい出だしから頂点への高揚感もすばらしい。これだけ作品への思いを込めた演奏にめぐり合えるのもなかなかないのではないだろうか。 すばらしい。とにかくすばらしい。まだ演奏途中ですが、このCDは絶対お勧めです。 大阪poがこんなに上手いというのも初めて知りました。
カール・ベーム/バイエルン放送交響楽団★★★★★ 一楽章、オケが一体になって音楽を作っている感覚がとても良いです。オケのメンバーがベームを向いて演奏しています。音楽が生き生きしています。 ベームのスタジオ録音からは聴く事ができない空気感や一体感や緊張感がすばらしい。 すごく歌う木管。それを支える骨格がガチッと決まっていて安定感も抜群です。 ベームの演奏なので、ライブと言えども大きくテンポが動くことはありませんが、音楽の高揚に合わせてテンポが速くなったりもします。また、音自体にもスピート感もあり、この点でもスタジオ録音では聴けない演奏を聴くことが出来ます。 ウィーンpoとのライブ以上に熱い演奏だと思います。ベームがこれほどまで熱い演奏をしているとは知りませんでした。
それほど、スタジオ録音しか聴く機会がなかったので、このCDはとても貴重です。 骨格はしっかりしていますが、その上に乗っかっているメロディなどはとてもしなやかで美しいです。 堂々としたすばらしい演奏でした。また、名演奏が一つ加わりました!
カール・ベーム/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1973年ザルツブルクライヴ 朝比奈 隆/大阪フィルハーモニー管弦楽団2000年一楽章、いつものゆったりしたテンポです。華美にはなりませんが、艶やかな弦が美しい。 ゆったりしたテンポでも音楽は弛緩することなく前進しています。ただ、音楽の力強さは1996~7年の全集の盤の方が上回っているように思います。 響きはすっきりしていて清涼感があります。ねちっこい歌いまわしもありませんので、テンポは遅いですが、しつこさはなく聴きやすい演奏です。
二楽章、この楽章もテンポは遅めですが、ねばることもなく、比較的あっさりとしています。悲しみを演出するようなこともなく、作品自体に語らせるような自然な演奏です。 自然体で自然に盛り上がって、こちらも次第に熱くなる演奏かできるのは凄い。 朝比奈のキャラクターが濃くないので、作品に身を任せることができるので、このような演奏はとても好きです。 やるのなら、テンシュテットのようにオケを引きずり回すくらいに主張して欲しいし、自然体ならばそれで徹底して欲しいです。 中途半端な演奏が一番理解しにくいし、共感もできなくなるように思っています。
一楽章、ホールの響きが豊かです。音のスピード感は大阪の演奏よりもこちらの方があるような感じです。 音楽の振幅もこちらの方が大きいです。トランペットの咆哮などは大阪のライブでは聴かれなかった面です。 テンポも朝比奈の即興でしょうか、微妙に動くところも大阪のライブではあまり無かったと思います。 また、音楽が前へ前へと行こうとするところも目立ちます。前へ行こうとし過ぎて、ちょっと詰まった感じになる部分も若干ありますが、前進するエネルギーを評価しましょう。
二楽章、ここでもテンポの動きがあります。このテンポの動きも自然に出てきたもののようで、不自然さは全くありません。 情感に満ちた演奏です。トランペットの強奏はすごいです。大阪の演奏とこんなにも違うとは思いませんでした。大阪poのメンバーもおのぼりさんか? ホルンもすばらしい音で鳴っています。すごい燃焼度です。 テンポは遅いけれど、次々に波が押し寄せるような息付く暇を与えないエネルギーです。
三楽章、大阪のライブでは何となく通り過ぎた箇所にも思い入れたっぷりで、自然に演奏に集中しています。 ホールの響きも豊かなので、ホルンのトリオもなかなか良いです。 やはり推進力が大阪ライブとは格段に違います。
デヴィッド・ジンマン/チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団★★★★★ 一楽章、すごく豊かで暖かい響きです。テンポは予想通り速いです。ベーレンライター版によるものなのか、ジンマンの解釈によるものか、聴きなれた音の扱いとはかなり違います。 アクセントやアクセントの後の音を小さく演奏するなど、とても変わっています。ティンパニはバロックティンパニを使っているのか、硬い撥で叩いているようで、この音が小気味よい感じで演奏を締めています。 反復ありで15:37はやはり速いですね。これまでの「英雄」に対するイメージを覆されるような演奏で、面白いです。 突然ティンパニに強打が連続したり・・・・・。何度も聴く気になるかは分かりませんが、初回はとても楽しいです。次に何が起こるかワクワクしてきます。 こんな演奏をしているジンマンは不謹慎か?
二楽章、オーボエの旋律に今まで聞いたことの無い音が付加されているようで、ちょっと滑稽な旋律になっています。 スタッカートやアクセントが多い演奏で、葬送行進曲のテーヌートのイメージには遠いです。 マーラーの「復活」でもこのオケは上手いと思いましたが、この演奏もすごいです。 昨今では、世界中のオケの水準が上がっているので、超一流と言われるオケとその次に来るようなオケとの差が確実に詰まっていると思います。 以前、アフリカかどこかの部族がすごく賑やかな葬式をしている場面が放送されたのを見たことがありますが、それとダブるような感じさえする演奏です。ティンパニの強打もそれをさらに印象付けるような感じさえします。
三楽章、この楽章ももちろん速いですが、スピード感も伴っていて結構良いです。 面白い! 世に流通している演奏を規範とすれば、この演奏はとんでもない異端児だろうと思いますが、これだけ好き放題の演奏をされると、楽しいです。私は、この演奏は存在するに値すると思います。何も主張をしない演奏よりも、時として滑稽な部分があっても、全く違ったヘートーヴェン像を作ろうとする姿には賛辞を贈りたいと思います。
ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」2
たいこ叩きのベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」名盤試聴記
セルジウ・チェリビダッケ/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 カルロ・マリア・ジュリーニ/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 フィリップ・ヘレヴェッヘ/オランダ放送室内管弦楽団 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1952.12.8 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1944年 グスターボ・ドゥダメル/ベネズエラ・シモン・ボリバル交響楽団 ベルナルト・ハイティンク/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 2005 ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ベルリンフィル創立100周年記念公演(初日1982年4月)ライヴ クリスティアン・ティーレマン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ロジャー・ノリントン/シュトゥットガルト放送交響楽団 ルネ・レイボヴィツ/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1966年東京文化会館ライヴ★★★★★ 笛吹のクラシック音楽ライヴ と オーディオの記事の笛吹さんから音源を送っていただきました。ありがとうございます。
ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」3
たいこ叩きのベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」名盤試聴記
朝比奈 隆/新日本フィルハーモニー管弦楽団★★★★☆ 一楽章、この「英雄」でも自然体を貫いています。ゆったりとしたテンポでありながら、推進力を失うことはありません。 足取りが着実で踏みしめるような安定感と推進力が両立しています。 この全集はどの曲も出来が良く音楽としての完成度もきわめて高い。すばらしいライブです。
二楽章、まろやかで美しい響きで、誇張した表現はなく、楽譜をベートーヴェンを信じ切って演奏していることが伝わってきます。 端正で繊細な大人の「英雄」です。また、日本のオーケストラは弦が上手いことは以前から定評がありましたが、この時期になると管楽器も音が軽く力みなく出るようになっていて、伸びやかで美しい。 世界に誇れるベートーヴェンになっていると思います。
オトマール・スウィトナー/シュターツカペレ・ベルリン★★★★☆ 一楽章、この「英雄」も美しい音で録音されているし、王道を行く安定感や安心感があります。 ホールに残る残響も美しい。 スウィトナーはこの全集一貫して、迷うことなく、ストレートど真ん中勝負できています。しつこく粘ったり、仕掛けが待ち受けていたということは全くありません。 低域が厚くないので、豪快な印象はありません。むしろ繊細で美しく品の良い女性的なベートーベンに仕上がっています。弦のボーイングも丁寧な感じで、一つ一つの旋律や主題を描いて行きます。それは、宝物を大切に扱うかのようで、とても穏やかな表情です。
二楽章、内面から湧き出るような表現で、大げさなハッタリなどは全くありません。クレッシェンドを伴って音楽が高揚してきても、節度ある高揚感で、音楽が暴走しません。 この演奏から熱狂を求めると期待を裏切られるでしょう。その分、端正でスタイリッシュな演奏です。その方向としての完成度は極めて高い全集だと思います。 初めて、ベートーベンの全集を買う方にもお勧めです。
ジャン・フルネ/東京都交響楽団★★★★☆ 一楽章、ゆったりとした冒頭の二つの音でした。そのあとも遅めのデンポです。 フルネらしく上品で格調高い「英雄」です。都響から気品に満ちた響きを引き出しています。強弱の振幅は十分ありますが、強引な演奏ではありません、中音域のふくよかな響きと透明感の高い響きが印象的です。 この響きの透明度の高さはフルネの演奏の特徴として特に優れている部分だと思います。 この透明度が演奏の純粋さや清潔感を生み出していると思います。最後の部分で一旦pに落としてクレッシェンドがありました。
レナード・バーンスタイン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団記★★★★☆ 一楽章、テンポは中庸。ニューヨーク時代のバーンスタインはかなり荒削りだけど生命感のある演奏が多かったと記憶していますが、1978年の録音でも、多少面影を残しているように感じます。 また、ウィーンpoは誰が振っても、彼らの様式を大きく外れる演奏をすることはほとんどないとも思っています。 この時代のバーンスタインは、どこのオケを振っても音の密度が若干薄くなるように思うのですが、この演奏も、ウィーンpoにしては密度の薄いと思います。 その代わりに表現は生き生きとしていて、ウィーンpoにしては、普段の保守的な範囲を超えた演奏をしていると思います。 そういった面では、とても興味深い演奏だと思います。 バーンスタインが感情をストレートにぶつけた演奏でだと思います。
マリス・ヤンソンス/バイエルン放送交響楽団 Royal Albert Hall, 2009 フランス・ブリュッヘン/18世紀オーケストラ エマニュエル・クリヴィヌ/ラ・シャンブル・フィルハーモニク カール・ベーム/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1973年ベルリン芸術週間ライヴ★★★★☆ 笛吹のクラシック音楽ライヴ と オーディオの記事の笛吹さんから音源を送っていただきました。ありがとうございます。
ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」4
たいこ叩きのベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」名盤試聴記
エフゲニー・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団★★★★ 一楽章、レニングラードpo独特の鋭く突き刺さるような音が、ムラヴィンスキーの厳しい表現と合わさって強い緊張感を生み出しています。 ライブでも一糸乱れぬ完璧なアンサンブル。暴走するようなスピード感ではないのですが、キリッと引き締まったベートーヴェンです。 主題が楽器によって表現が違うのが不思議です。 これだけ引き締まった表情の「英雄」ははじめてです。細部の表現まで徹底されています。見事。
ブルーノ・ワルター/シンフォニー・オブ・ジ・エア(旧NBC交響楽団)★★★★ 一楽章、引き締まった演奏です。ライブならではのテンポの動きもあります。 ワルターのイメージはとにかく中庸で、あまり印象に残らない演奏が多いのですが、このライブは最初から違う雰囲気を持っています。 音楽が、前へ前へと行こうとする推進力もあって力強い。 テンポの動きはありますが、そこはさすがにワルターです。不自然だったり強引な動きではなく自然に受け入れることができる動きで、音楽の流れを止めません。 表現の振幅も大きいですし、なかなか良い演奏です。
三楽章、音楽が生き生きしています。スタジオ録音のワルターとは別人のような生き生きとした演奏で、これがワルター本来の姿なのだと思わされます。録音は良くないので、全体像を計り知ることはできませんが、ここで聴ける音楽はすばらしいです。 描写音楽の場合は、スタジオ録音で、出来る限り美しい音で録音されている方が良いですが、メッセージ性の高い音楽の場合、スタジオ録音では、指揮者もよそ行きの演奏をしている場合も多く、その指揮者の本質を伝えていないことが多いと思います。 その意味では、このライブを聴くことによって、ワルターの別の一面を聴くことができたことは幸せです。
オイゲン・ヨッフム/ロンドン交響楽団★★★★ 一楽章、余韻も作っているような、余韻にまで意識をめぐらせた音の出し方です。 テンポは速めの部類かもしれませんが、テンポが動くこともあるし、表現は豊かだし聞き応え十分な演奏です。 スピード感はありますが、決して乱暴なことはありません。ベートーベンの男性的ながっちりした骨組みをもっていながら、表現の柔軟さも併せ持つ名演だと思います。 トゥッティでドンと一つの音符があるとズシン~と響く。テンポは速いけど、重戦車のような、でも木管なんかは繊細な・・・・・・。不思議が両立している。ホルンも激しい!
ヨゼフ・クリップス/ロンドン交響楽団★★★★ 一楽章、明るい響きが印象的です。 控えめなトランペット。1960年の録音ですが、あまり古さは感じません。薄いヴェールに包まれているような上品な響きで、しなやかな女性的なベートーヴェンのように感じます。 強いアクのある演奏ではないので、はじめてベートーヴェンの全集を買う人にはお勧めです。何て言ったって1,000円ですからね! この値段でこの演奏だったら文句ありません。CP抜群です。 ふくよかで柔らかい音色で音楽が流れて行くので、安心して聴くことができます。
ヘルマン・シェルヘン/ウィーン国立歌劇場管弦楽団★★★★ 一楽章、乾いた細身の音です。かなり速いテンポの演奏です。畳み掛けるようなテンポで緊張感があります。 このテンポでもアンサンブルが乱れることもなく難なく演奏するオケもすばらしい。 カチッとした音質のティンパニが演奏を引き締めています。終盤にかけてさらに畳み掛ける演奏でした。
ロリン・マゼール/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ホセ・セレブリエール/シドニー交響楽団 パーヴォ・ヤルヴィ/ブレーメン・ドイツ室内フィルハーモニー管弦楽団 オットー・クレンペラー/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 イーゴリ・マルケヴィチ/シンフォニー・オブ・ジ・エア アルトゥーロ・トスカニーニ/NBC交響楽団ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」5
たいこ叩きのベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」名盤試聴記
朝比奈 隆/NHK交響楽団 カール・ベーム/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 サー・ゲオルグ・ショルティ/ハンブルク・北ドイツ放送交響楽団★★★☆ 一楽章、シカゴsoとのスタジオ録音のようなキンキンした音ではなく、マイルドで聴きやすい録音です。 ショルティ最晩年の演奏と言えども、そこはショルティ。音楽の推進力はさすがです。骨格のがっちりした音楽作りも変わらないところです。 前へ行こうとする推進力の中に熱いものを感じさせる演奏です。 ただ、ベートーベンの内面を表出するようなタイプの指揮者ではないので、どちらかと言うと造形の美しさを聞くべき演奏なのではないかと思います。 音楽の流れは、ひっかかるようなところや強調するところもなくとてもスムーズです。
三楽章、一楽章は中庸なテンポでしたが、二楽章、三楽章は速いです。 推進力があって、若々しい気迫溢れる音楽になっています。最晩年の演奏がこれだけ力強いと言うのも、ショルティならではですね。 この指揮者は一生枯れることなく演奏活動を終えたのでしょう。晩年には散漫な演奏をした巨匠もいましたが、ショルティは集中力の高い演奏を続けていたことは驚きです。
フリッツ・ライナー/シカゴ交響楽団 クラウス・テンシュテット/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団★★★ 一楽章、速い!テンポが速いと、スピード感があるというのは違います。 この演奏はテンポが速い。快速に飛ばします。ただ、音楽が前へ行こうとはしません。 オーケストラのアンサンブルはバッチリ決まります。響きは厚く、このテンポには厚すぎるような感じさえします。 フェラーリにでも乗ってアウトバーンをブッ飛ばしながら聞くのにちょうど良いような演奏で、ベートーヴェンが作品に込めた、人間の自由とか解放などとは無縁です。 ただ、ひたすらかっこよく颯爽としていることにだけ重点を置いた演奏のようです。 トランペットはファンファーレのように気持ちよく鳴り響きます。これはこれの楽しみ方があるのでしょう。
四楽章、全楽章を通して、速いテンポ設定でした。このテンポで演奏されると、別の観点で感動します。 すごい。確かにベートーヴェンの内面を抉り出すような演奏ではないけど、一つの基準として捉えるには良いかも知れません。 これだけ、音響的に磨いた演奏を聴いておけば、内側へ没入して行くタイプの演奏の凄みも十分感じることができると思います。最初にベートーヴェンを気持ちよく聴くには良いでしょう。
ギュンター・ヘルビッヒ/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 カルロ・マリア・ジュリーニ/ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団★★★ 一楽章、ゆったりしたテンポです。朝比奈と同じぐらいのテンポ設定でしょうか。 ゆったりしたテンポではありますが、響きはすっきりしていて、野暮ったい演奏にはなりません。 むしろ響きが薄いかもしれません。スピード感もありませんが、丁寧に一音一音を奏でるような演奏です。ジュリーニの歌にあわせてテンポも微妙に変化しています。 「英雄」の演奏にしては、女性的かもしれません。豪快な演奏とは遠い、非常にナイーブで繊細な「英雄」です。 とても穏やかな「英雄」です。木管楽器のメロディは蝶が舞うような優雅さがあります。一音一音大切に大切に演奏していて、暴発するようなこともありません。 二楽章、少ない人数で演奏しているのでしょうか。とても寂しげな感じが表現されています。この楽章はジュリーニの面目躍如と言ったところでしょうか。 すごく静かな二楽章です。これは生で聴けたら良かっただろうなあと思います。 ずっとレガートな感じで、ガツンとくることは絶対にありません。音楽の洪水の中に浮かんでいるような、そしてゆったりと癒されているような心地よさです。 ジュリーニにしか表現できない特別な世界のように思います。この演奏に抵抗を感じる人もいるでしょう。今までの概念とは全く違います。
この遅さは、オケも聴衆も忍耐です(^ ^) この演奏には賛否両論があると思います。 「英雄」フリークには絶対に聞いておいて欲しい演奏ですが、あまり数を聴かない人にはお勧めできません。
ファビオ・ルイージ/デンマーク放送交響楽団 ハンス・シュミット・イッセルシュテット/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ヘルベルト・ブロムシュテット/パリ管弦楽団ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」6
たいこ叩きのベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」名盤試聴記
宇野功芳/新星日本交響楽団★★☆ 一楽章、最初から揃わなかった。指揮者が本職ではないので、バトンテクニックがどうのこうのとは言ってはいけないのでしょう。 しかし、それにしても、推進力の無い音楽です。意味の分からないところで極端にテンポが落ちたりして、聞いていて笑ってしまいました。 極端なテンポの動きなど、宇野のやりたかったことは理解できないわけではない。ただ、指揮者としてのカリスマ性のようなものはどう考えてもないので、オケのメンバーを本気にさせることが出来なかったのではないかと思います。 これで楽員からの自発性のようなものを導き出せていたらすごい演奏になっていたかも知れない。 それでも聴くかぎりでは、オケは協力的に演奏しているようには聞こえます。 面白い演奏でした。
二楽章、日本のオケの演奏なので、楽員も真面目に演奏していて、散漫になったりはしないので、聴くのが苦痛になるようなことはありません。 テンポが動いたり、いろんなことで表現しようとすることが上滑りしている感じがあって、宇野がやりたいことを、オケが完全に昇華できていないような感じで、オケのメンバーの共感が無いのか、音楽に深みや凄みが不足しているのが残念なところです。 しかし、それは指揮が本業でない人に求めるのは酷でしょう。
三楽章、すごく遅いです。この遅さに意味を感じさせることができないところが弱さですね。アマオケが基本練習をしているような感じに聞こえてしまいます。 遅いテンポをさらに遅くする部分もあり、一般的に聞いている「英雄」像とはかなり違っています。 このテンポに緊張感を保つことができなくて、音楽が弛緩してしまっているように思います。
音楽に限らず、一つの主張を貫き通すことは大変なエネルギーが必要です。 それをやり遂げたことは、すばらしいことであり、近年何を主張しているのか、さっぱり分からない演奏が溢れていることを考えると、このようなアクの強い演奏の存在価値は十分あるのではないでしょうか。 好き嫌いは当然分かれるでしょうし、批判もあるでしょう。 また、ベートーヴェンの演奏様式とか専門的にはどうなのかは私には分かりません。 でも、面白い演奏でした。 少なくとも、私にとってはキャプランの「復活」よりも、ずっとこちらの方が良かった。
朝比奈 隆/大阪フィルハーモニー管弦楽団二楽章、途中、テンポを速めるところもあります。やはり、集大成へ至るプロセスの演奏のように思います。この頃はまだ迷いがあったのではないかと推察します。 自然体で、力みのない演奏にはなりきれていないところが興味深いところです。 トランペットのヴィブラートもちょっと気になります。ティンパニもテンポの変化にうまく合わせられないところもあり、朝比奈のテンポ設定も徹底されていなかったと思われます。
四楽章、音楽に身をゆだねることができるような、最晩年の演奏の片鱗も時々顔を出します。ただ、壮大なスケール感は感じませんでした。 それにしても、この録音の時点で77歳だった朝比奈が、この後の録音で見せた新化はすごいことだと思います。朝比奈本人が真のベートーベンを追及し続けたことも凄いことだと思います。 基本的な解釈をほとんど変えない指揮者もいますが、朝比奈は謙虚に新しい発見があれば演奏を変えて行った。
ダニエル・バレンボイム/ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団 2012Proms ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団★★ 一楽章、一聴して特徴を感じる演奏ではありませんが、意外なところでタメがあったり、トランペットが突き抜けてきたりする部分もありますが、中庸の安心感があります。 録音年代から考えると美しい音で録られています。 ただ、やはりトランペットがくせ者で、一人別世界の音楽をしているようで、おかしいです。
ギュンター・ヴァント/北ドイツ放送交響楽団★★ 一楽章、すごく短い音が二発・・・・・。テンポも速めです。音楽にはスピード感があります。 音楽が瑞々しく生き生きとしていて、なかなか良い演奏です。勇壮に進む音楽が魅力的です。 四分音符が単発で出てくるところの音の処理が短いのが気になります。ヨッフムの演奏では長めに余韻を作る感じさえあったのですが、ヴァントの演奏は全く反対の処理です。 音楽の流れがそこで止まるような感じがして、この処理はあまり好きになれません。
レオポルド・ストコフスキー/ロンドン交響楽団 エルネスト・アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団 グスタフ・クーン/ボルツァーノ・トレント・ハイドン管弦楽団ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」7
たいこ叩きのベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」名盤試聴記
リッカルド・ムーティ/フィラデルフィア管弦楽団 ジャナンドレア・ノセダ/ミラノ・スカラ座管弦楽団 ジョン・エリオット・ガーディナー/オルケストル・レヴォリューショネール・エ・ロマンティーク Google search 最近の投稿- ショスタコーヴィチ交響曲第9番
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