3分で簡単「炭素循環」生態系を支える重要な仕組みについて現役理系大学院生がわかりやすく解説!
生物圏のほとんどの炭素は森林に貯蔵されており、地球の地上炭素の約86%です。大気中の炭素は光合成により有機物へと変換されて植物をはぐくみ、動物が植物を食べると、有機炭素は他の形態に変換され、動物が生きていくために利用されます。また動植物は呼吸により二酸化炭素を排出し、大気へと炭素が還るのです。同じことが細菌などにも当てはまり、死んだ植物や動物は分解され、炭素は土壌や大気へ還ります。つまり、生物圏では食物連鎖のあらゆる段階で炭素が、ある生物から別の生物に巡って、さらに他のリザーバーへと巡っているのです。
3.海洋圏炭素循環image by iStockphoto
海洋炭素循環は、世界の炭素循環の中心プロセスであり、無機炭素と有機炭素の両方を含んでいます。陸上から河川を通じて炭素を受け取り、水が大気と頻繁に接触する表層では、大気中の二酸化炭素と水に溶けている二酸化炭素の分圧差により炭素の交換が行われており、大気中と溶存無機炭素(DIC)の平衡を保っているのです。
海洋の循環に伴って表層の海水と深層の海水の間でも炭素のやり取りが行われ、海底では炭酸塩鉱物の堆積物として沈殿します。また、海水中の植物性プランクトンにより二酸化炭素が光合成により有機炭素として海洋生物に取り込まれ、一方では有機物が分解されて二酸化炭素に無機炭素に変換されているのです。海洋炭素循環はほかのリザーバー間との炭素の循環だけでなく、非生物と生物間の物質の間の炭素の循環も行っています。
4.地圏の炭素循環
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地圏の炭素循環は他のリザーバーと比較してとてもゆっくりと循環しています。地球のマントルに貯蔵された炭素の多くは、地球が形成されたときにそこに貯蔵された炭素です。地圏に貯蔵された炭素のうち、約80%が石灰岩とその誘導体であり、海洋生物の殻(貝やサンゴなど)に貯蔵された炭酸カルシウムの沈下から形成されています。残りの20%は、化石燃料などの石油や石炭で、これらは枯れた植物や動物の死が細菌などによって消化されず、高い熱と圧力下での不溶性有機物(ケロゲン)として地圏に貯蔵された有機炭素です。これらの地圏の炭素は何百万年もそこに残ることができます。
地圏に含まれる炭素は土壌中の微生物や植物の根に利用されて生物圏へと循環したり、火山活動による堆積物中の炭酸塩から二酸化炭素へと変換され大気圏へと循環するのです。そして、産業革命以降には、化石燃料を燃やして炭素を大気中に放出しています。