単3ニッケル水素電池充電器の製作(2)
上の写真には電池が2本写っています。上側の白い電池が標準型のエネループ です。下側の水色の電池が、容量が少ないものの値段が安いエネループ・ライト です。多少ピンボケで見にくくて申し訳ないのですが、赤い下線を引いた部分に注目すると、白いエネループには"1,900mAh"、水色のエネループ・ライトには"950mAh"と書いてあります。これらの数字が容量を表しています。(これらの数字から、エネループはエネループ・ライトの倍長持ちなのが分かりますね)
余談になりますが、電流と時間の積は、電荷という物理量になります。国際単位系 では電流の単位をA、時間の単位をs(秒)とすることになっており、それらの積の単位をC(クーロン )と呼ぶ事になっています。このルールにのっとれば、1Aの電流を2時間流せるエネループの容量は2×3600=7200Cと表すべきなのですが、時間の単位に秒を採用すると、電池の寿命の計算には使いにくいのでAhという単位を採用したのでしょう。電力会社が使った電気の量(電力量)を表すのにkWhという単位を使うのも同様の理由と思います。国際単位系に従うなら、J(ジュール )という単位を使うべきです。
7. 充電の方法について
図9、充電時の電圧変化電池がある電圧に達したら充電を止めるという方法を取るなら、充電終止電圧 の設定を少し下げるだけでかなり不足充電になったり、充電終止電圧の設定を少し上げるだけで充電が止まらなくなったりすることが理解いただけると思います。よって、充電終止電圧の判定回路にはそれなりの精度が必要です。また、完全に満充電になってしまうと電圧の上昇が止まってしまうので、この方法だと満充電になる直前に充電をやめる事になります。
そのうえ、電池の電圧は温度に左右されるという性質もあります。ニッケル水素電池の電圧は、温度が1℃上がるごとに、おおよそ3mV低下します。(温度係数-3mV/℃)その影響で、充電終止電圧を一定にしてしまうと、冬場には不足充電になり、夏場は充電がいつまでも止まらないという事態になります。
8. 過充電すると何が起こるか?
↑ 画像をクリックすると拡大 写真3、100円ショップのニッケル水素電池の充電器9. 電池の起電力・端子電圧・内部抵抗について
図10、電池の特性と等価回路電流が0の場合の電圧を起電力 E と呼びます。電池の端子電圧 V は、起電力 E から内部抵抗 r で生じる電圧降下 r I を引けば求まりますから、次の式が成立します。
V = E − r I ・・・ (7)10. 定電流定電圧充電について
図11、定電流定電圧電源の特性 図12、定電流定電圧電源に抵抗負荷を付けた場合の電圧、電流ここで、定電流定電圧電源に14.5Ωの抵抗をつないだ場合の電圧と電流を求めて見ます。実際の電圧と電流は、実線で表わした定電流定電圧電源のグラフと、(a)の破線のグラフが交わった点で与えられます。図12を見ると、(a)の破線は、電源の定電圧領域の直線(水平線)と交わっていることが分かります。 I = V R に R =14.5[Ω]と V =1.45[V]を代入して計算すると、電流 I は0.1Aであることが分かります。つまり、この場合、電圧は1.45V、電流は0.1Aとなります。
最後に負荷抵抗が4Ωの場合の電圧と電流を求めます。(c)の破線は、電源の定電流領域の直線(垂直線)と交わっていることが分かります。(c)の破線と垂直線の交点の電圧を求めるには、 V = R I に R =4[Ω]と I =0.2[A]を代入すればよく、0.8Vになることが分かります。電流は0.2Aです。
図13、定電流定電圧電源に電池をつなげた場合電池の端子電圧(電源の出力電圧) V は、電池の内部抵抗 r 、電池の起電力 E 、充電電流 I より次の式のように求まります。
V = E + r I ・・・ (8)式(7)と式(8)では、プラスマイナスの符号が逆になっています。これは、式(7)の場合、放電電流を I としたのに対し、式(8)の場合では充電電流を I としたためです。
(a)の条件の場合、電池の特性のグラフが電源の定電流領域の直線(垂直線)と交わっています。よって、充電電流は0.2Aと求まります。端子電圧については、式(8)に E =1.2[V]、 r =0.2[Ω]、 I =0.2[A]を代入して計算すると、1.24Vと求まります。
(b)の条件の場合、電池の特性のグラフが電源の定電圧領域の直線(水平線)と交わっています。よって、端子電圧は1.45Vと求まります。充電電流については、式(8)に E =1.43[V]、 r =0.2[Ω]、 V =1.45[V]を代入して I について解けばよく、その結果0.1Aだと求まります。
図14、起電力が変化した場合の端子電圧と充電電流の変化 図15、時間の経過にともなう端子電圧・充電電流の変化定電圧充電が始まって十分時間がたっても、充電電流は完全に0Aにはならず、わずかな電流で充電を続けます。この状態は、電池の自己放電 (電池内部で起こる放電)で失われるわずかな電流を充電器が補っている状態です。この様な充電をトリクル充電 と呼びます。
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