不満の嵐を「設計図」に。野村不動産グループ3,400人が挑んだ本社移転「自社実験」の舞台裏とその先
春日 倫さん(以下、春日):野村不動産グループは、ホールディング体制となっていますが、その中で当社はマンションブランド「PROUD(プラウド)」に代表される住宅事業だけでなく、戸建て、賃貸住宅、物流、ホテル、そして空間デザインなど多角的な事業を展開しています。オフィスビル事業においても、大規模オフィスから中規模ハイグレードオフィス「PMO」、サービス付き小規模オフィス「H¹O」、サテライト型シェアオフィス「H¹T」など、多様な働き方に応える拠点を拡充してきました。
また、野村不動産グループのブランドステートメントとして「Life & Time Developer」を掲げているのですが、不動産というハードを超え、そこに住まい、働く人々の人生(Life)と時間(Time)をいかに豊かにデザインできるか。今回の本社移転を、そのビジョンの体現を加速させるきっかけにしたいと考えています。
横石:BLUE FRONT SHIBAURAには、グループ8社が集結されたそうですね。これだけの規模の移転を決断された背景には、どのような課題があったのでしょう。
春日:移転の検討を始めたのは2019年からです。1978年に新宿野村ビルが竣工した時点で本社を構え、約50年。まさにグループの成長の歴史そのものでしたが、最大の課題は、会社やグループの成長に伴い、組織や社員数も大きくなり、フロアや拠点が分散してしまっている「物理的な分断」でした。
新宿野村ビルでは3,000人超の社員が23フロアに分散し、周辺拠点を含めると計25か所に分かれていたんです。同じ部署内ですらフロアが分かれ、心理的な距離やコミュニケーションの閉塞感を生んでいました。この課題を解消し、グループシナジーを引き出すための「意識改革」のきっかけにしたい。それが移転の強い動機でした。
横石:とはいえ、広く認知された新宿野村ビルから離れるというのは、社内でもかなり大きな決断だったのではないでしょうか。
春日:おっしゃる通りです。お客様への影響はもちろん、特に長く勤めている社員ほど、新宿本社には強い思いがありました。しかし、全員が同じ目線で一体感を持って働くには、一定数の役職員が一緒に働くことができる大きなビルが必要であるといった検討を経て、2022年に本社移転を決定しました。
橋本 葉子さん(以下、橋本):新しい本社となるBLUE FRONT SHIBAURAは、開放的なウォーターフロントに位置しています。昨今、テレワークやデジタル化が加速し、「どこでも働ける」時代になりました。
だからこそ、物理的な「立地の利便性」だけを追求するのではなく、わざわざ集まる場所として、「社員がいかに豊かに働けるか」というウェルビーイングの視点を最優先に考えたのが、この新しいオフィスです。
横石:それがTOKYO WORKation(トウキョウ ワーケーション)というBLUE FRONT SHIBAURAのコンセプトに繋がるのですね。初めてこのコンセプトを知ったとき、きっと野村不動産のオフィスが、そのモデルケースになるんだろうなとワクワクしたんです。
橋本:ありがとうございます。仕事をしながらちょっと非日常を感じて、心を豊かにしていく、そんな働き方をまずは私たち社員自身が体現して、その実感を伴った価値を世の中に発信していけたらと考えています。
横石:実際、浜松町駅からこの場所まで歩いてくるだけで、開放感があって気持ちがいいですよね。以前のこのエリアは、機能的な倉庫街というイメージが強かったのですが。
春日:そうですね。アプローチから新しく整備しましたので、街全体の雰囲気もだいぶ変わったと思います。
Advertisement Advertisement3,400人の声を「設計図」に変える。2年半にわたるトライアルという対話
横石:グループシナジーの課題について、もう少し詳しく聞かせてください。具体的にはどのような状態を目指されたのでしょうか。
春日:組織が一定以上になると、どうしても他部署やグループ会社が何をやっているのかが見えにくくなってしまいます。まずは物理的に同じ場所に集まり、組織間の壁がない空間で「顔見知り」を増やす。そんな、一歩目としてのコミュニケーションを大切にしたいと考えました。
横石:「知り合いを増やす」という、シンプルなところから。
春日:はい。ゆくゆくは、それぞれの企業文化や風土が自然と交じり合い、「Life & Time Developer」としての新しい事業やアイデアに結びついていく。そんな土壌を耕したいという思いがあります。
橋本:これまでは、どうしても自分の会社や事業部門の中だけで完結しがちでした。目標設定もその単位なので、他とつながるという発想に至りにくい構造があったんですね。だからこそ、新オフィスでは「否応なしに周りとコミュニケーションを取らなきゃいけない環境」を作ってしまおう、と。
横石:新しい価値創造をしていくためには、いつも同じ席に来て、同じ人と喋って帰るというよりは、一見無駄に思える余白も含めて、予期せぬノイズが入り込む隙間が必要ですよね。ただ、新宿での慣れ親しんだ働き方から一気に変えるのは、相当なギャップがあったのではないですか?
春日:そうですね。新宿野村ビルでは、多くの部署が伝統的な「固定席・島型デスク」というスタイルでした。それが新オフィスでは壁もなく、基本的には固定席もない。働く環境が180度変わっています。
橋本:加えて、場所そのもののギャップもあります。新宿に根付いていた会社が、区をまたいで芝浦に移る。この2つの大きな変化に慣れてもらうために設けたのが「トライアルオフィス」です。
横石:オフィス移転はどうしても「出たとこ勝負」になりがちななかで、事前に検証できるプロセスを設けたのは画期的な取り組みですね。しかし、拠点が新宿と芝浦に分かれる期間が長くなるわけで、運用は相当大変だったのでは……。
橋本:正直しんどかったです(笑)。でも、1回目のトライアル入居で出た課題を次のエリアの設計に反映し、2回目でさらに検証する。この繰り返しから得られた膨大なフィードバックが、そのまま新オフィスの「設計図」になりました。
春日:当時は文句の嵐でしたよ(笑)。「おしゃれだけど座りにくい椅子がある」や「ファミレスブースをひとりで独占している人がいる」「周りの声が気になって仕事にならない」とか。什器の種類・使い勝手、運用面、しつらえ。あらゆる角度から山のような意見が寄せられました。
横石:その不満を、どう新オフィスに落とし込んでいったのですか。
橋本:「改善できること」「できないこと」をひとつずつ丁寧に回答していきました。自分たちの働く環境を一緒に考えたというステップを踏めたのが大きかったですね。
春日:トライアルで社員からたくさん言われ過ぎて、実は本社移転直後は、一体どれだけの不平不満が来るんだろうって戦々恐々としていたんですよ。でも、肩透かしを食らうぐらい混乱なく、みんな自然に働き始めて。トライアルの効果と、あとは社員の切り替え力。この2つが大きかったのかな。
横石:トライアルで失敗を事前に出し切ったことが、非常に有効だったわけですね。
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