ディオールの伝説バッグが芸術に変身!10周年記念で世界のアーティストが魅せる「レディ ディオール」の新たな姿
#第54回どうぞ落選供養 とりあえず一番乗りということで。 『除幕式』 齊藤想 「夭折もひとつの才能ではないのか」と、坂本画伯は完成したばかりの旧友の銅像を前にして、感慨にふけった。 除幕式には旧友の元恋人と、彼のひとつぶだねである息子が駆けつけている。三十年の日々は恋人を老婆に変え、赤ん坊を青年に成長させた。坂本も平凡な画家から、紛れもない巨匠へと成長させた。 長い肩書きと胸に赤リボンを付けた役人が、坂本を銅像の前に誘導する。 「先生、祝辞をお願いします」 「うむ」 坂本は和服の裾を直しながら、金属の塊となった旧友に足を向けた。この銅像は、旧友の代表作である「山の幸」を描いているときの姿だという。作者の力量かもしれないが、無機質な表情に旧友の血は通っていない。 坂本は元恋人と息子の表情を伺った。画友である元恋人は、落胆する表情を見られないようにするためか、地面に目を落としている。放蕩息子は、表面上は祝捷な顔をしている。 坂本は用意していた原稿を開きかけたが、思い直して懐に戻した。そして、この魂のない駄作を前にして、述べる言葉を探し始めた。 旧友が輝きを放った期間は短かった。 旧友は誰もが認める天才だった。美術学生時代から異彩を放っており、卓越した描写力を持っていた。それなのに、圧倒的な画力を捨て去った表現手法が斬新だった。 だれもが目にする平凡な風景の中から、一瞬で美の真贋を見抜き、美しいところだけを切り取ってカンバスに落とし込む。繊細な描写は作者の力量を示す自己満足に過ぎず、かえって真の美を妨害してしまうことを理解していた。 ただ、残念なことに、旧友が生まれた時代が早すぎた。 旧友の実家は極端な貧乏だった。美術学校に入学できたのも、旧友の画才を惜しむ先生たちの支援のおかげだった。 旧友は生活苦のなかで描き続けたが、新鋭の美術評論家には評価されても、独特すぎる絵を購入する奇特な富豪は現れず、美術学校卒業後も貧乏生活は続いた。両親は旧友の絵が一部界隈で評判になったことを画家として成功したと勘違いして、仕送りを執拗にねだった。それだけでなく、都会を夢みる兄弟たちを上京させて、子供の生活費まで押し付けた。 おまけに恋人が妊娠し、経済的に首が回らなくなった。 旧友は生活のために、売れる絵を模索し始めた。絵のタッチは繊細となり、技術的には見事なものだった。 だが、旧友の魂はどこかに消え去った。 一度手放した魂は、二度と戻ってこない。 旧友が長命したら、おそらく生活のために描いた凡作の山に埋もれて、いまのように評価されることはなかっただろう。 精神を病んだ旧友は深酒を飲むようになり、泥酔状態で自宅近くの国道で寝転び、大型トレーラーに切り刻まれた。わずか二十八歳だった。 別居していた元恋人は、坂本から連絡を受けて、息子とともに霊安室に駆け込んだ。 冷たい室内で旧友の死体にすがりついて泣く元恋人の姿と、状況がわからないままキョトンとしている幼い息子の姿が、いまも目に焼きついている。 旧友が評価されたのは、死後二十年たってからだ。ようやく時代が旧友に追いついた。旧友の遺作であれば、生活のために描いた凡作でも売れるようになった。 美術学校卒業後の坂本は、画家を目指しながらも、生活のためにイラストレーターとして活動していた。様々な雑誌や広告に、美術的な価値などかけらもない下らない絵を描き続けた。 閉塞状況を打破するために、坂本は旧友の名前を利用した。二人が親友であることは、同級生の間では有名だった。坂本は雑誌や広告の仕事で得たツテを利用して、旧友の美術的価値を売り込み、旧友との思い出話を披露した。坂本の話の中には、真実と嘘が混在していた。だが、旧友はすでに死んでいる。確かめられるひとは誰もない。 坂本は牛や馬の絵を描き続けた。 旧友の才能には遠く及ばないが、旧友の親友というだけで、虚名だけは高まった。旧友のスケッチも流用した。気が付いたら、坂本は虚名のまま巨匠へと祭り上げられた。 その結果が、坂本の嘘で塗固まった血の通わない旧友の銅像であり、晴れの舞台における祝辞の依頼だった。 元恋人が少し顔をあげた。坂本と眼が合うと、彼女は小さく首を横に振った。坂本は大きく息を吸うと、再び懐から原稿を取り出して、平凡な祝辞を述べた。まさに坂本の人生を表すかのような、詰まらない言葉の羅列だ。 列席者たちは坂本の虚名の前に、賛辞の声を上げた。祝辞の中に忍ばせた「旧友に処方された薬を坂本が管理していた」、「旧友の元恋人と坂本が連絡を取り合っていた」ことに注目する列席者は、だれもいなかった。 ふと、息子が銅像に顔を向けた。その横顔は、旧友とは似ても似つかなかった。 坂本は、いまでも自分の行為は正しかったと信じている。 元恋人は、旧友の画風が衰えていることを悲しんでいた。手もとに残された旧友の作品をいい値段で処分したがっていた。 だから、坂本は酒に旧友の薬を溶け込ませ、国道に放置した。凡作に埋もれる前に夭折したことで、旧友は伝説となった。 だが、いまでも不思議なことがある。旧友の死体から薬の成分が検出されなかったのだ。 坂本は飲酒によって代謝が早まったためだと思ったが、もしかしたら別の可能性があったのかもしれない。旧友も才能の枯渇に気が付いていたのかもしれない。 血の通わない銅像に聞いても、返事は帰ってこない。旧友の魂も、ここにはいない。 続きを読む
2026/04/01 11:18第54回の結果発表が出たということは、もちろん今回も開催します!! ✨✨✨✨✨✨ #第54回どうぞ落選供養 ✨✨✨✨✨✨ 今回のテーマは「才能」。 自分には小説を書く「才能」があるのかと、悩んでしまうときもありますよね。でも最後まで完成させた自分に、まずは拍手を送りましょう! また、落選したからと言ってその作品に価値がないわけではありません! 「第54回小説でもどうぞ」にご応募いただいた作品を、こだわった部分や思い入れのある一文などもぜひ添えて、上記のハッシュタグをつけて投稿してください! そして #第53回どうぞ落選供養 も募集中です! 応募がまだの方はぜひ! みなさまの大切な創作にかける思いを共有しあえたらと思っています。今回参加されなかった方も、今後の創作活動に向けて意見交換や刺激をもらえる場としてぜひご活用ください。 「小説でもどうぞ」をいっしょに盛り上げていきましょう💁♂️ #小説でもどうぞ https://koubo.jp/article/64153 続きを読む
2026/04/01 10:51 キャラクターデザインコンテストで優秀賞をいただきました。 採用にはなりませんでしたが、入賞するのが初めてのことなのでとてもうれしいです。 今年度も公募チャレンジ頑張ります。 2026/04/01 10:48にしの桃子さん 「第38回 福島正実記念SF童話賞」最終選考まで残ったのですね。凄いです。 受賞を逃したのは残念ですが、それでも最終選考まで残るというのは実力があるからです。あんなにお忙しいのに、頑張っておられる姿を想像すると、励まされます。次回作を期待していますね。あっ、私も頑張ります。(笑)
2026/04/01 10:452月の分投稿していなかったのでまとめて。 ○2月公募まとめ ネーミング、コピー 2件 川柳、俳句、短歌、詩 4件 作文、エッセイ 3件 大喜利 1件 ○3月公募まとめ ネーミング、コピー 4件 川柳、俳句、短歌、詩 6件 作文、エッセイ 1件 締め切りは待ってくれないので どんどんチャレンジしていこう 続きを読む