ラフマニノフ 交響曲第2番
ドレスデンで作曲され、その時から親交のあった指揮者アルトゥール・ニキシュ(1855年-1922年)も演奏するなど、世界的に演奏されて行きます。しかし交響曲第2番は冗長である、ということで、指揮者がカットを施して演奏されることがありました。ラフマニノフ自身も改訂し短縮版が作曲されました。それ以後、しばらくの間、短縮版を使用して演奏することが一般的になってしまいます。1946年のレオポルド・ストコフスキーとハリウッド・ボウル交響楽団の録音は全曲版を使っていますが、一部カットがあります。
指揮者のアンドレ・プレヴィンはソビエトでの公演でこの曲(短縮版)を演奏した際に、エフゲニー・ムラヴィンスキーから全曲版の存在を教えられ、それを使用するように薦められました。それをきっかけにプレヴィンは全曲版を演奏するようになり、1973年に録音も行われました。現在では全曲版の演奏が主流になっています。カットなしで全曲を演奏した場合、60分になりますが、完全全曲版と呼ばれています。
曲の構成4楽章形式の交響曲です。緩ー急ー緩ー急という、バロック時代の教会ソナタを思わせる構成です。ブルックナーも良く使っていた構成ですね。ラフマニノフの交響曲第2番は色々な要素が詰まった交響曲なので、形式などはあまり意識しなくても良い気がします。
第1楽章:ラルゴーアレグロ・モデラート序奏付きのソナタ形式です。
第2楽章:アレグロ・モルト3部形式のスケルツォです。2/2拍子で行進曲風のスケルツォです。
第3楽章:アダージョ3部形式の緩徐楽章です。 冒頭、弦の主題はとても有名 です。曲が進むにつれ、深みが増していき、味わい深い楽章です。
第4楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェソナタ形式です。溌溂としたこれも有名な主題で始まります。後半は下降音型と共にとてもスリリングに、圧倒的に盛り上がります。
フルート×3(3rdはピッコロ持替)、オーボエ×3(3rdはイングリッシュホルン持替)クラリネット×2、バスクラリネット、ファゴット×2ホルン×4、トランペット×3、トロンボーン×3、チューバティンパニ、シンバル、大太鼓、小太鼓、グロッケンシュピール弦5部
おすすめの名盤レビュー
それでは、ラフマニノフ作曲交響曲第2番の名盤をレビューしていきましょう。
ラトル=ロンドン交響楽団 シンフォニックで小気味良い、スリリングで爽やかな名盤!指揮 サイモン・ラトル 演奏 ロンドン交響楽団
サイモン・ラトルとロンドン交響楽団の録音です。 新しい録音で非常に高音質 です。
第1楽章は ラトルのテンポ取りが良く、甘美すぎることもなく、シンフォニックな響き で進んでいきます。ですが、その中にロマンティックな要素もあって、楽しめる演奏です。録音が良いので、様々な楽器の音色が混濁せずに聴こえてきます。途中のヴァイオリン・ソロやクラリネットを目立たせたり、とラトルも上手くバランスを取っています。ロンドン響も調子が良いのか、ラトルの意図を良くくみ取って小気味良く音化しています。 盛り上がってくると金管が咆哮し、スケール大きくダイナミック です。第2楽章は速いテンポでキビキビとした演奏です。弦の息の長い主題は、細かい表情がついています。中間部もとてもスリリングです。少しテンポを落としてトランペットのメロディが入ります。
第3楽章は 冒頭の弦の有名な主題がシンフォニック です。爽やかに聴けます。ロマンティックですが、あまり濃厚な甘美さを前面に押し出していないので、自然に聴ける演奏です。 曲が進んでいくと、情感が深まり、味わい深く なっていきます。第4楽章は溌溂にリズミカルに始まります。弦の主題もリズム感を失いません。 下降音型が出てくるあたりから、どんどんスリリングさが増していき爽快 です。
ラトルが好調でインスピレーションを発揮し、ロンドン響もシンフォニックで洗練されたサウンドで応えている名演です。
プレヴィン=ロンドン交響楽団 王道を行くロマンティックさ、情熱的な甘美さと色彩感指揮 アンドレ・プレヴィン 演奏 ロンドン交響楽団
プレヴィンとロンドン交響楽団の録音です。アンドレ・プレヴィンは全曲版を復活させ録音した、ラフ2演奏の立役者です。 1970年代のアナログ録音で、しっかりした音質 です。
第1楽章は静かな中、ヴァイオリンやチェロのメロディには甘美さがあり、時に憂鬱さを伴うなど、様々に変幻していきます。そして色々なパートが絡みつつ、色彩的な頂点を迎えます。 雪がしんしんと降っているかのようなロシアへのエキゾチズムと甘美さ に溢れています。それにしても、この辺りの色彩的なオーケストレーションを上手くまとめるプレヴィンの手腕にとても感心します。ロシア的なダイナミックな所もロシアの指揮者と違い、洗練された演奏になっています。第2楽章は少し遅めですが、 メリハリのあるダイナミックな演奏で、非常に色彩的 です。弦の音色にも色彩感があります。中間部のフォルテで始まる個所は、テンポを速めダイナミックでスリリングです。有名なトランペットのメロディが絶妙なテンポで聴けます。
第3楽章は 冒頭の有名なメロディから色彩感が溢れていて、滑らかに歌っていきます 。クラのソロも甘美で抑揚のつけ方も絶妙です。スコアの読みが深く、長い楽章でも間延びすることなく、細かい陰影をつけて情熱を増していき、曲に引き込まれます。第4楽章は速いテンポで明るく始まります。 色彩感に溢れると共に洗練されたダイナミックさ です。弦の息の長い主題は軽妙に甘美さをもって表現されています。後半はラストに向かってスリリングに盛り上がっていきますが、トゥッティになってもサウンドは洗練されています。
まさにロマンティックかつ甘美で、ドラマやCMで聴いたメロディを原曲で聴きたい、という方に特にお薦めの名盤です。
ゲルギエフ=ロンドン交響楽団指揮 ヴァレリー・ゲルギエフ 演奏 ロンドン交響楽団
ゲルギエフとロンドン響のラフマニノフ全集から第2番です。それにしても、ロンドン交響楽団はラフ2の名演が多いですね。 2008年録音で音質は良く、小気味良く収録 されています。
第1楽章は繊細でロシア的な土の香りを感じます。 弦の美しい音色が印象的で、木管は幻想的 です。盛り上がる場面では ロシア的なダイナミックさ があります。第2楽章は速いテンポで小気味良く始まります。 弦の主題はテンポを落とし滑らかに歌って います。中間部はキビキビとしたテンポでスリリングです。ホルンはロシア的な土の香りを感じます。 トランペットの有名なメロディはこのページの演奏の中でも一番良い ですね。
第3楽章は 冒頭の弦の主題は、自然な甘美さで瑞々しく演奏 されています。有名なメロディでも押しつけがましくないのは好感が持てます。そして、奥ゆかしさを持ちつつ、情熱的に盛り上がっていきます。 弦の音色の艶やかさが良い ですね。後半は爽やかさをもってスケール大きく盛り上がっていきます。第4楽章は 速めのテンポでリズミカル に始まります。弦のメロディに入るとテンポを落とし、じっくり聴かせてくれます。後半は小気味良くスリリングに盛り上がっていきます。
ゲルギエフは自然体でラフマニノフを演奏していて、レヴェルの高い全集です。ラフマニノフの交響曲全集は色々ありますが、演奏のセンスと高音質が素晴らしい名盤です。
ロジェストヴェンスキー=ロンドン交響楽団 遅めのテンポでロマンティックかつスケール大きく盛り上がる!指揮 ゲンナジ・ロジェストヴェンスキー 演奏 ロンドン交響楽団
ロシアの大指揮者ゲンナジー・ロジェストヴェンスキーとロンドン交響楽団の録音です。非常にスケールが大きく、懐の深さを感じさせる名演です。ロジェストヴェンスキーの録音の中でもとりわけ世評の高い一枚です。 録音は安定 しています。
第1楽章の冒頭からスケール大きく、どこまでも盛り上がっていきます。このスケールの盛り上げ方はとても良く計算してありますね。 ロマンティックなメロディも甘美すぎず、ロシア的なダイナミックさも伴い、とてもボキャブラリーが豊富 です。最高潮に達すると、パーカッションと金管を容赦なく咆哮(ほうこう)させ、ロシアのオケのようです。第2楽章は少し遅めのテンポで、しっかりしたリズムと弦の響きの厚みがあります。広々とした草原を思い起こさせる演奏です。スネヤとトランペットが入る所も遅めで、強弱の差が大きく、フォルテでの思い切りの良いダイナミックさ爽快です。 弦の息の長いメロディは、懐が深い指揮のもと、とてもスケール大きく 演奏されています。
第3楽章の 有名なメロディもとてもスケールが大きく、ロシア的なロマンティックさを感じさせる演奏 です。ゆっくりと時間をかけて、自然体で演奏していき、ケレン味は感じられません。 むしろ真摯で感動的 な演奏です。曲が進んでいくと、深く掘り下げていき味わいが増していきます。
第4楽章は速いテンポで溌剌と始まります。そして、静かになるとまたスケールの大きさが戻ってきます。 テンポが速い所はロシアらしくキビキビとした演奏していき、そのままスケール感を持ってダイナミックに盛り上がり ます。金管もパーカッションも遠慮なくダイナミックです。
全体的に遅めのテンポで、特に第3楽章はスケール大きくじっくりと演奏しており、ラフ2にどっぷり漬かって聴きたい方には特にお薦めです。
テミルカーノフ=サンクトペテルブルク・フィル ラフマニノフを得意とするテミルカーノフのコクと格調のある名演指揮 ユーリ・テミルカーノフ 演奏 サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団
ロシアの大指揮者テミルカーノフとサンクトペテルブルク・フィルの録音です。テミルカーノフはラフマニノフを得意としており、あまりロマンティックな方向に行かず、さりげない感情表現でセンスの良さが光ります。
第1楽章はしっかりした低弦から始まり、 高弦のメロディはロマンティックですがコクのある表現 です。品格を保ったままロマンティックに弦を歌わせ、滑らかさと鋭さもあります。これで十分甘美さを表現できているし、ラフマニノフが得意なテミルカーノフらしい演奏です。 盛り上がってくるとテンポを速め、激しく盛り上がり、とてもリズミカルでスリリング です。第2楽章はシャープな速めのテンポで溌剌としています。 テミルカーノフらしいスリリングな軽快さで、心地よく 聴けます。トランペットの有名なメロディも絶妙なテンポ取りで堪能させてくれます。
第3楽章の 弦のメロディはロマンティックですが、奥ゆかしさ があります。クラリネットもじっくりと歌い込みます。曲が進むにつれ、情熱的に盛り上がる場面もありますが、 奥の深い表現になっていきます 。常に格調の高さがあって爽やかです。最高潮に達した時は、レニングラード・フィルの密度のあるトゥッティが聴け、凄い解放感です。
第4楽章は速いテンポで熱狂的に盛り上がります。弦の主題はテンポを絶妙に動かして、ロマンティックです。後半は段々とテンポを速め、スリリングに熱狂的になっていきます。 弦の息の長い主題は解放感があり、スリリングさを失わない絶妙な手綱さばき で、爽快に曲を締めます。
テミルカーノフとサンクトペテルブルグ・フィルの録音は、甘美になり過ぎず、表現の物足りなさもなく、自然な表現で、本当の意味でスタンダードな名盤と言えると思います。本物のラフマニノフを聴いた、という充実感があります。
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演奏の映像(DVD,Blu-Ray,他)
ラトル=ベルリン・フィル指揮 サイモン・ラトル 演奏 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
2011年5月1日,スペイン,マドリード・レアル劇場 (1080i Full HD/16:9/PCM ステレオ/DTS-HD Master Audio Surround/ライヴ)
ラフ2を得意とするサイモン・ラトルの演奏の映像です。オケは当時の手兵だったベルリン・フィルです。カップリングはシャブリエの狂詩曲スペインとアランフェス協奏曲です。
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楽譜・スコア
ラフマニノフ作曲の交響曲第2番の楽譜・スコアを挙げていきます。
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