スティーリー・ダンの名曲ベスト20選
「Bodhisattva」は、アルバム『Countdown to Ecstasy』を象徴するすべてを詰め込んだような楽曲だ。鋭角的なピアノ、冷酷な皮肉、そしてジャズを纏ったロックンロールバンドの躍動感。“ストリートではジャズ、ベッドではモータウン”なバンドの鼓動がそこにある。この曲は、“Me世代”のナルシシズムに対する手厳しい風刺でもある。他の70年代ロックスターたちが東洋の導師に悟りを求めていた頃、フェイゲンは、スピリチュアルな満足を手っ取り早く金で買おうとする金持ちの素人たちを観察していた。彼らは日本と中国の違いさえ知ろうとしない。〈ボーディサトヴァ、街の家を売っちまうぜ〉——痛烈すぎる一撃。この曲には、スティーリー・ダン屈指のギターバトルも登場する。最初にソロを弾くのはデニー・ディアス、そして続く第2ラウンドにはジェフ“スカンク”バクスターが登場。ディアスはジャジーな音色と完璧な作業着で勝利、バクスターはコメディ的狂気とマペット風のヒゲで勝利。勝敗は……引き分けとしよう。 —R.S.
19位「Sign in Stranger」(邦題:狂った町 1976年)
「Sign in Stranger」は、ゆったりしたビートと爽やかな空気感に包まれていて、最初はイージーリスニングのように感じる。しかし、ポール・グリフィンのピアノが放つ鋭い一撃、エリオット・ランドールのギターの切れ味を聴いた瞬間、その印象は一変する。フェイゲンは、ふわりとしたボーカルラインでサビへと誘い、最後には鋭い唸り声で締めくくる。この曲のテーマは、過去から逃れようとする銀河系の無法者たち。快楽と野蛮さという音の両極を行き来しながら、彼らは“最終フロンティア”へと旅立つ前に、ひとときの享楽にふける。まさにその物語にふさわしい音世界がここにある。 —J.B.
18位「Your Gold Teeth II」(1975年)
「Your Gold Teeth II」は、ラウンジ風の前作「Your Gold Teeth」(『Countdown to Ecstasy』収録)の名ばかりの続編だ。前作との共通点は、わずかな謎めいた歌詞と、漠然とした実存的な虚無感のみ。それでも、この曲はスティーリー・ダンの中でも最もジャズ的完成度の高い瞬間だ。フェイゲンのピアノはビル・エヴァンスを彷彿とさせ、デニー・ディアスのギターソロはジャンゴ・ラインハルトへの粋なオマージュ。そしてジェフ・ポーカロは、チャールズ・ミンガスのドラマー、ダニー・リッチモンドにインスパイアされた“流れるようなワルツ”を叩き出す。この若干20代に入ったばかりのドラマーによる演奏は、「Aja」のドラムソロと並んで“スティーリー・ダン史上最高のドラム・モーメント”として語られるほどの驚異的な名演だ。 —J.D.
17位「Any Major Dude Will Tell You」(邦題:気どりや 1974年)
スティーリー・ダンの楽曲を思い浮かべると、不穏なテーマや辛辣な皮肉がまず頭に浮かぶ——そんな中にあって、「Any Major Dude Will Tell You」はふんわりとした心地よいアレンジに包まれた、意外な“慰めの歌”だ。これは、彼らなりの乾いたユーモアをきかせた「You’ve Got a Friend」(キャロル・キング)のようなもので、アルバム『Pretzel Logic』における思わぬご褒美のような一曲。当時の典型的なシンガーソングライターたちとは一線を画す存在であったベッカーとフェイゲンは、甘ったるく聞こえることなく、そっと前向きな助言を差し出してみせる。 —D.B.
Translated by Rolling Stone Japan
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