中国が独自ファームウェア規格「UBIOS」を策定、UEFIへの依存脱却なるか?
中国の技術的自立に向けた動きが、また一つ大きな節目を迎えた。グローバルコンピューティングコンソーシアム(GCC)は2025年10月21日、UEFIに代わる新たなファームウェア規格「UBIOS(Unified Basic Input Output System)」の基礎アーキテクチャ仕様を正式に発表した。この動きは、米中のAI・半導体開発を巡る経済戦争が激化する中で、コンピュータの根幹をなすソフトウェア層において、米国主導のエコシステムからの脱却を目指す中国の強い意志の表れと言えるだろう。
UEFIからの決別、ゼロから再構築された「UBIOS」
現代コンピューティングを見据えた先進的設計- ネイティブなヘテロジニアス対応: CPU、GPU、NPUなど、特性の異なるプロセッサを単一のシステム内で協調動作させるヘテロジニアスコンピューティングは、現代の性能向上の鍵である。UBIOSは、こうした複雑なハードウェア構成を当初から想定し、ネイティブにサポートする設計を持つ。
- チップレット技術への最適化: 複数の半導体ダイ(チップレット)を一つのパッケージに統合するチップレット技術は、半導体の性能向上とコスト効率化を両立する新たな潮流だ。UBIOSは、こうした分散的なハードウェア構造を効率的に管理できる。
- 分散アーキテクチャと低結合: UBIOSは、モジュール間の依存関係を極力排した「低結合(Low Coupling)」な設計を特徴とする。これにより、システムの特定部分の変更が他に影響を与えにくく、開発効率や拡張性、保守性が向上すると考えられる。
- マルチアーキテクチャへの原生対応: UBIOSは、x86/x86-64だけでなく、Arm、RISC-V、そして中国独自のCPUアーキテクチャであるLoongArch(龍芯)まで、主要な命令セットアーキテクチャを網羅的にサポートする。これは、特定のアーキテクチャに依存しない、より普遍的なファームウェア基盤を目指す姿勢を示している。
なぜ今、UEFIからの脱却が必要だったのか
UEFIが抱える20年来の技術的課題UEFIの参照実装である「TianoCore (EDK II)」は、度重なる機能追加の結果、コードが著しく肥大化し、非効率な部分も多い。モジュール間の結合度が高いため、特定の機能を追加・修正する際に予期せぬ影響が出やすく、特に前述したヘテロジニアスコンピューティングやチップレットといった新しいハードウェアパラダイムへの柔軟な対応が困難になりつつあった。
さらに、UEFIの設計思想は、IntelとMicrosoftが主導するx86ベースのPCエコシステムに深く根差している。デバイスの検出ロジックはACPI(Advanced Configuration and Power Interface)に、OSローダーのインターフェースはx86アーキテクチャに、それぞれ強く依存している。近年、ArmやRISC-VがサーバーやPC市場に浸透し、UEFIもこれらのアーキテクチャをサポートするようになったが、その対応は後付け感が否めず、根本的なアーキテクチャ非依存には至っていないのが実情だ。
技術覇権を巡る地政学的背景UBIOSがもたらす影響と今後の展望
中国国内エコシステムの垂直統合 グローバル市場への挑戦と巨大な壁Sources
- 快科技
- TechPowerUp: China Develops UBIOS, a Firmware Standard Rivaling UEFI, for its Digital Devices