. The tokyo manzai collections
The tokyo manzai collections
The tokyo manzai collections

片岡鶴八(声色)

……あたしは信州上田の産なんですけど小さい時分に新宿に出てきちまいましたんでね、まあ、東京が故郷みたいなもんですな。 新宿駅のほうから歌舞伎町に向かって、三平食堂の本店がございますな、ゴーストップのところのだらだら坂を降りたところ、あそこを昔はゆび差し横丁てえいいまして、いまでも土地の古いひとはそう呼んでいますけど、そこで小学校をおえるまで、ずっといましてね。いっとき、渋谷の幡ヶ谷にいきましたが、また、間もなく新宿に戻ってきて。あたしの親父ってえのは、家業がハンコ屋でね、趣味で謡いをやるてえ、堅い一方の男でしてな。いまから考えてみるってえと、あたしをぐれさせないためでしょうな、六つのときに謡いを習わされちまいまして、まだ遊びたいさかりでね、無理矢理ですから、親父をうらんだもんですよ。それにね、十五、六になってから俳句でしょ、ずいぶんとしぼられました。 いま、声が太くて悩んでんですけどね、こりゃ、小さい頃から謡いなんかやってうなってたせいでしょうな。 声帯を堅くしちまったんだと思いますよ、謡いのけい古で。

因みに、鶴八の兄たちもハンコ屋を開業していたという。その中の一人は芸事好きなハンコ屋と知られ、子供たちの多くが芸人になった。 その兄の子―― 鶴八にとって民謡の篝淡声、バイオリン演歌の石田梅林、日本舞踊の内海洋雀、民謡三味線の藤本秀三は甥、山田鶴助は姪にあたる。

最初は友だちと二人で出まして、名人羽左衛門と先代幸四郎の声色をやって、ただ、セリフをしゃべっているってえ程度のもんでしたが、カネはふたつ、だったかな。 その後、その友だちと組んで「ハンコとハンコ合わせて一個」なんて、ヘンな芸名をつけて万才をやったり、四度目の出場のとき声色でやっとカネをみっつ鳴らしました。 この頃からやみつきになっちゃいまして。当時、放送に出たがるタイプっていうのが、二通りありましてね、ひとつはクイズに出る賞金稼ぎ、もうひとつがノド自慢で。 あたしたちは賞金稼ぎを軽べつしましてな、オレたちは芸をみがくために挑戦している、なんていって、いま考えると大変あつかましいようなもんで。 とにかくのぼせきってましたから、女房が「およしよ、みっともないから」といったってきかばこそでして、カネをみっつ鳴らした者ばかりを集めてな、三水会なんてテング連を作って勉強会を開いたり、そのうちあきたらなくなって清瀬の結核病院にね、ま、専属ってえますか慰問するようになって。

「市川右太衛門という人のセリフには、途中でパッという言葉が入りますネ、やってみましょう、こんな具合です……」 舞台の片岡鶴八は、眼鏡をポケットに入れると、両手を前に、刀を持ったポーズでマイクに進み寄る。「パッ、折ふし月も雲がくれ、当節江戸にはメクラがふえたものとあいみゆるパッ、このヒタイの三日月をなんと見るパッ、都一番風流男早乙女主水介がむこう傷、天下ご免の通行手形だ、パパッ」セリフの途中で口をつぼめ、パッとやる。これがピタリ市川右太衛門だ。なんともおかしなリアリティに客席はドッとくる

ですから、弟子入りしたのは声帯模写の芸人、片岡鶴八師匠でした。弟子入りを許可された時に、私の父と師匠と3人で食事をしたんです。師匠は、私が今まで食べたことがないような豪華な天丼を振舞ってくださいました。そして、「次に天丼が食えるのは、お前が売れた時だ。だから、そうなれるよう頑張りなさい」 と言われたんです。師匠も苦労の多い人でしたから、発破をかけてくれたんだと思います。

B-plus スペシャルインタビューより

片岡鶴八(漫談の師匠) 「入門してきたころは、毎週、『次までに誰それの声帯模写を練習してくるように』と宿題を出したもんです。鶴太郎はいつもちゃんとこなきて、それはマジメな男だった。これからは役者に挑戦するとか、幅広く活躍してほしいね。そのためにも私たちの芸の基本になることをもっと勉強しなくちゃ。小唄とか都々逸とかね。『コレこそ自分の芸』というのを身につけるうえで、忘れてはいけないことだと思うよ」

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