若松家正右衛門(初代)
○みだらな寄席芸人 田舎から入り込んでお灸
大阪市内の寄席に出演する芸人でみだらな言葉やいやしい素ぶりをして観衆を笑はし人気とりするものが多いので府保安課興行係は十五日西区方面の各寄席に一斉臨検を行つた結果、九条正宗館で出演中の万歳若松屋正右衛門こと野洲政吉(四十四)、米子(二十二)、花子(二十三)、咲子(十六)、末春こと田川義雄(二十一)、花びしやアチヤコこと藤本清太郎(二十九)、平和ニコニコこと八木常一(四十二)、松島廓内中島席松鶴家八千代こと内藤たき(十九)等が臆面もなくみだらな言葉を連発していたので十七日課に召還取調中である。
正右衛門は、若松家の総帥として座長格のひと。「高級萬歳」と名のっただけあって、高座着なども木綿からやわらかいものに改めていた。トリネタの「あほだら経」はこのひとのお家芸。
若松家正右衛門のレコード
若松家正右衛門は、大正期の萬歳師の中でも座長クラスの大物。 ややトーンの高い声だが、渋くてボリューム感がある。口調もきびきびしていて小気味よい。また、なかなかサービス精神の旺盛な人だったらしく、表面の終ったところで「ここでひっくりかえして頂きまして、今度は裏面を聞いて頂きます」などと、ほかの人は言わないようなお愛想を言っているのもおもしろい。 レコードは、大正9年から11年にかけて入れた次のオリエント盤7枚が好評だったようである。どのレコードもこの当時の録音としては上々で、脂の乗り切った彼の全盛期の芸が収められている。「無いものづくし(阿呆陀羅経)」(1730)、「滑稽萬歳・色問答」(1753)、 「棒尽し(阿呆陀羅経)・寿萬歳」(1787)、「滑稽十二月 (数へ歌)」(1842)、「交通宣伝(数へ歌)」(1848)、「滑稽しゃべくり萬歳・掛合いなぞかけ」(1917)、「毛々づくしりんづくし (阿呆陀羅経)」(1981)。特に阿呆陀羅経は正右衛門のトリネタだっただけあって自信を持って吹き込んでおり、今聞いても十分楽しめる。 大正末のカナリア・レコードというセルロイドのレコードにも「なひなひづくし」 (189)の阿呆陀羅経が入っている。ニットーには大正9年に阿呆陀羅経「無ひもの尽し」 、「しゃべくり萬歳・色問答」がある。なお、オリエント盤の演者の表記は若松屋、ニットーは若松家となっている。両社の盤とも相方の名前はない。
◇笑福亭 一日より枝女太、愛蔵、円笑、ざこば、三馬、文雀、一馬、一声、助六。 十一日より花月三友合同諸芸大会。 二十一日より[落語]小円馬、福団治、三八、三馬。[万歳]千代春・文春、菊丸・末義、艶子・末丸、ニコ/\・正右衛門、幸丸・次郎。
◇西陣富貴 二十一日より落語幹部連と万歳大会。[落語]三馬、三八、文治郎、九里丸、染丸、円馬、枝鶴、米団 治[万歳]正右衛門・ニコ/\、次郎・幸丸、末義・菊丸、文春・千代春、艶子・末丸。
▼若松家正右衛門・平和ニコニコ 平和ニコニコとのコンビでは、ハト印に「志ゃべくり・まげづくし(数え歌)」(289、290)、「ないないづくし(阿呆陀羅経)」(293、4)、「寺づくし(数え歌)」(1223、4)がある。
ニコニコと別れた後、自身も「若松家小正」なる少女とコンビを結成。 『柳屋』(36号 1928年11月号)には「正右衛門は父親で、小正は七つぐらいで娘である」とある所から、親娘コンビだったらしいが、確証は得られない。
◇演芸▲千代之座 好評の七色會一行は新加入の若松家正右衛門、高田幸丸、圓蝶、春菊、春花、十郎と五郎等の萬歳軽口義太夫等
荒川芳丸・芳春 芦乃家雁玉・林田十郎、都家文雄・静代玉子家弥太丸・浅田家日左丸 浮世亭夢丸・ 柳家雪江 荒川光月・藤男 浮世亭出羽助・河内家一春 日本チャップリン・梅乃家ウグイス松鶴家団之助・浪花家市松 玉子家志乃武・山崎次郎 砂川捨市・曾我廼家嘉市 河内家文春・玉子家政夫 松葉家奴・荒川歌江 河内家芳春・二蝶 若松家正右衛門・小正 荒川芳若・芳勝 砂川菊丸・照子 宮川セメンダル・小松月花房秋峰・出雲金蝶 桂金之助・花次 河内家瓢箪・平和ニコニコ
△新京極花月 夜万歳大会 小正、正右衛門、康男、当月、川畑連、春子、正春、一春、出羽助、七五三吉、都枝、セメンダル、小松月、照子、菊丸、小夜子、喜楽。
◇新春特別大興行 巨頭連名人競演 愈々正月元日より開館
少女(若松家鶴千代同正楽)最新奇術(松浪天美同天花同天外)珍芸(橘家圓坊)文化萬歳(廣澤清子同國勝)高級萬歳(若松家正右衛門同正奴)ざこば改め(五代目桂文三)曲独楽(但馬源水)義太夫(文蝶銀蝶)女道楽(宝家奈駕)高級萬歳(山村二声、■賀貴蝶)レビユー(合同レヴュー)
新装せる楠公西門松本座
◇朝日座三月十五日より大日本表着大衆芸團猫遊軒猫八一行 珍芸名人大会
プログラム 馬の手踊 ラヂオ放送実演室 世相百面相 春雨爆弾三勇士 忠臣蔵三段目 満州■■浄瑠璃 問答 モダンレヴュー 石地蔵を動かす法 求むる足 滑稽改善 東西男女合併大相撲 萬歳 珍芸沢山
出演者 若松家いそ江 松廼家文子 猫遊軒猫六 喜春家花坊 浮世亭花香 浮世亭夢之助 猫遊軒君香 平和チェリー 鶴賀梅之助 鶴賀文弥 高砂家久江 圓笑 松鶴家日の一 吾妻家梅之輔 若松家正奴 若松家正右衛門
入場料時節柄大勉強 毎夕正六時開演 番組多数に付き開演時間正確
弟分 若松家正之助・姫松(元・正之助。戦後、二代目正右衛門を襲名) 若松家清丸・政丸 若松家正三郎 若松家正八 山崎正三(元・若松家正蔵) 若松家正坊・艶子 若松家正太郎 若松家正花 若松家正楽・鶴千代 太田保(元・若松家保) 井上歌児(元・若松家歌正)
若松家老松門下 若松雪路(娘) 伏見紫水(息子)
山崎正三門下 山崎正路 山崎正伍
若松家正太郎門下 林しのぶ・こいじ(しのぶは元・若松家正二郎)
若松家正坊門下 若松家正吾・正子
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浮世亭三吾・十吾 浮世亭三吾・十吾は戦後活躍した漫才師。明るく品のいいしゃべくり漫才で昭和の漫才ブームの若手として活躍。三吾は後年娘の美ユルとコンビを組み、日本で数少ない親娘漫才を率いていた。 保田春雄 桜山源若・小奴 林田十郎 浜お龍 三田マサルコメント
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