. That’s All Right Mama: 1954 | エルヴィス・プレスリー コレクション
That’s All Right Mama: 1954 | エルヴィス・プレスリー コレクション
That’s All Right Mama: 1954 | エルヴィス・プレスリー コレクション

ザッツ・オールライト / That’s All Right Mama:1954

『ザッツ・オールライト(That’s All Right)』は、特別な楽曲だ。 オリジナルはブルース歌手アーサー・クルーダップが書き、最初に演奏した。 1954年7月5日、メンフィスのサンスタジオで休憩中に自分流にアレンジしたエルヴィス・プレスリーが最初にレコーディング。 7月19日に「ブルー・ムーン・オブ・ケンタッキー」をB面にしてリリースされた。 シングル盤として、サン・レコードからリリースされた歴史的な名盤になっている。 『ザッツ・オールライト(That’s All Right)』は、ロックンロールの誕生として広く知られている。

ザッツ・オールライト / That’s All Right Mama

『ザッツ・オールライト』はとても素晴らしいイントロではじまる。 ギターの弦の中に宇宙がある。 永遠の5秒間だ。 シンプルで、セクシーなイントロだ。 そして一番大事なことだが『ザッツ・オールライト』には人間がいる。 ヤッホー!と叫びたくなるイントロだ。

エルヴィスが走っている。 何に向かっているのか、誰にも分からない。 だから素晴らしい。 ビルのべースがビルにも分からないままに飛び出している。 スコティが追いかける。きっとスコティにも行く先は分からない。 スコティの電気仕掛けの弦からはキューピットが放たれる。 ロビン・フッドが放った矢が林檎を貫いたような正確さで、それはエルヴィスの肩に舞い降りる。 キューピットはお尻を「ママ」に向けて切な気な声に合わせて踊り出す。 『ザッツ・オールライト』は、まったく泣かせてくれる。

ついさっきまでスコティは、投げやりになりかけていた。 ビルも、多分明日は昨日と同じのように思えただろう。 いや、もしかすると明日は3日前より悪くなると思ったかも知れない。

サムは頭を抱えていた。 エルヴィスはその敏感な神経でスタジオ内の冷たい空気を感じた。 空気を切り裂くものが必要だった。 信じられないほど素晴らしいイントロだ。 一体どんなふうに弾けばこんなサウンドになるのだろう。

それでいいんだ、ママ それでいいんだ、あんたのためにも それでいいんだ、ママ あんたの思うようにやりなよ

だけど、いいんだよ いいんだよ もういいんだよ、ママ あんたの思うようにやりなよ

オレのママは言ってたよ パパもオレに言ったさ 息子よ、お前が夢中になってるあの娘は、お前のためにゃならないよって

だけど、いいんだよ いいんだよ もういいんだよ、ママ あんたの思うようにやりなよ

オレは町を出てくいくよ、ベイビー 確かに町を出て行くよ オレがあんたの家のドアの回りをウロついて 困ることもないさ

だけど、いいんだよ いいんだよ もういいんだよ、ママ あんたの思うようにやりなよ

De de de de de,de de de de de あんたの思いやりが必要だったんだ もう、いいんだよママ、 どうだっていいんだ。

「それが問題です。あなたがそうしょうと考え、努力していることが。 あなたは呼吸するほかに何もしなくて、ひたすら呼吸することに集中しなさい。」

ママーーーーサム・フィリップス 君(ベイビー)ーーーースコティとビル ドアの回りーーーースコティのギターとビルのベースから弾き出されるビートな音の回り

I need your lovin’に続くThat’s all rightに集約されている諦める者だけが知り得る痛さやAnyway you doのAnyway が驚かずにはいられない悲しさで響いてくる。何度も何度も心の壁にエコーしたAnywayだ。 スコティとビルは追いかけて自分たちの町から飛び出した青年をつかまえた。サムは3人を出迎える。 ありがとう、スコティ、ビル、サム、あなたたちがいてくれて。

エルヴィスははっきりとした手応えをもって自分の居場所を見つけたのだ。 丁度その時、スコティとビルは自分たちがこの町から追い出されると思った。 エルヴィスは「オレは、いてもいいのか」って確かめるように身体を解放して絶唱する。 スコティとビルは「オレたちはいられなくなるぜ」と力いっぱいに弦を弾く。 そしてエルヴィス・プレスリーはキューピットをポケットに忍ばせてデビューした。

しばらくしたら、メンフィス中にDe de de de de,de de de de deは届いてた。

De de de de de ,de de de de deってなんだ? 一体なんて言ってるんだ?スコティとビルとサムには分かったのだろうか。 メンフィスの住人は分からないままに呪文を唱えるように口走っていたのだろう。

エルヴィスって人は、輝かしいキャリアのわりには「語録」というものが極端に少ない。 あってもあまり個性的な意見というものは少ない。つまり「自分」を話さなかったのだ。 心の露出の大半は歌で表現されている。 コメントは信用できない。嘘をつくわけではない。 ただそういう表現をしなかっただけだ。

『ハートブレイク・ホテル』から一連のビッグヒットに対しても「偶然」というような言い回しだ。しかし『冷たくしないで』『ハウンド・ドッグ』の自信にあふれたパフォーマンスはどうだ。 数多いテイクに何度も、しかもいろんな角度から耳を傾けリリースするものを選ぶ根気は偶然ではない。 ステージのアクションも「身体が自然に動く」と言ってるがあきらかにやりすぎだ。確信犯だ。(自然に動く状態は『1968年のシット・ダウン・ショー』で見ることができる)しかし言わない。 何でも言葉にしてしまう人もいれば、そうでないない人もいる。

『ブルームーン』の歌詞を知らなかった。」・・・エルヴィスならではコメントだろう。 それはそれだけエルヴィス自身の手が熱意をもって加えられていることを証明している。 特にデビュー前後ではエルヴィスが情熱をもってやり遂げればやり遂げる程反対に率直に表現していない。嘘をつかなくていいところで嘘をついてしまう。みんなそれにいっぱい食わされる。 とっても重要なことだがその嘘には悪意のかけらもない。 育って来た環境の影響で自分に対する自信をもてなかったせいで、率直に表現しない習性が身に着いてしまっているだけだ。

エルヴィス・プレスリーはその場の雰囲気で計算して編曲している。 「芸術」と呼ぶにふさわしい熱意を体内にもって自然体で取り組んでいる。 そしてその行為を隠しているように思えるのは、もともと意図としていないからだ。 自分を解放しあるがままに、赴くままに、くり返し、前進している。 サンのセッションではそれが発見できる。 自分を解放した後に何でもなかったんだよというような風情で笑ったりしている。 『ミステリー・トレイン』のように!

本当にサンのセッションは信じられないくらいに素晴らしい。 ロックンロールの真髄がある。 つまり、ひとりの人間が自分そのものになっていく過程が完璧なまでにとらえられているのだ。 精霊が躍動しているのだ。 ここが禅と違うように思える点だ。禅の静けさとは真逆だが、禅の真髄を感じる。

サンで録音されていた奇跡的なドキュメント『ミリオンダラー・セッションズ』ではエルヴィスは自信をもって同期生をリードしている。 当時飛ぶ鳥を落とす勢いのロカビリー連中にあって、エルヴィスは飛ぶミサイルを落とす勢いだった。ここでは身体と心が解放され一体になった生命の輝きが聴こえる。 「子供のような無邪気さ」にようやく辿り着いたのだ。

それはいまもこの地球上に暮らす人に無言のままに言葉以上の確かさでメッセージを送り続けている。「自分のままでいいんだよ」と・・・「自分を信じるんだ」と・・・人間への永遠のメッセージだ。 エルヴィスが言いたかったことがピンクのキャデラックに集約され、世間の人々の度肝を抜いた。なんてことだ!こいつはただの車ではない。エルヴィスの血だ。

そこで私は研究書『50年代のエルヴィス全曲』のドアを開く。 おっと!やっぱり、『THAT’S ALL RIGHT MAMA』のイントロに感嘆印ではないか! ビリー諸川さんはきっと心優しい人なんだと勝手に納得してしまった。

———–THAT’S ALL RIGHT、そう言い放つエルヴィスは永遠の透明さで歌っている。

Well that’s all right, mama That’s all right with you That’s all right, mama Just anyway you do

* Now (Bat) that’s all right That’s all right That’s all right now, mama Anyway you do

Well, my mama she dose told me Papa done told me too Son, that gal you’re foolin’ with She ain’t no good for you

I’m leavin’ town now, baby I’m leavin’ town for sure Well then you won’t be bothered with me Hangin’ ‘round you door

I need your lovin’ That’s all right That’s all right now, mama Anyway you do

elvisをフォローする エルヴィス・プレスリー コレクション

関連記事

どっちみち俺のもの / Anyway You Want Me (That’s How I Will Be) エルヴィスがいた。1954~1977

主な内容、予定 (エルヴィス・プレスリーの楽曲は他にもアップします) エルヴィス・プレスリーを聴いた。/アサーティブでありアサーティブでなかった/エルヴィスと時々、複数のロッカーたち。 ザッツ・オール・ライト/青函連絡船/イタリアン・ボー.

明日は遠く/「ぼくの宝物だ。」とボブ・ディランは言った。

「ぼくの宝物だ。」とボブ・ディランは言った。 ボブ・ディランのベストアルバムに、あまり知られていない曲「明日は遠く」が入っている。 知られていない曲がベスト版に収録されるのは異例のこと。この曲についてディランは「この曲はぼくの宝物なんだ。」.

エルヴィス・プレスリーの「恋の大穴」

A BIG HUNK O' LOVE/恋の大穴 切なくなるほどカッコいい女がいる。抱きしめたいとは思わない。 ただそこにいればいい。追うとなにもかもが野暮になる。 でも、そのままというわけにも行かなくなったとき、風景は動き出す。 ピアノが逃.

ブルー・クリスマス/Elvis Presley Christmas at Graceland グラミー受賞 偉大なるかな神 / How Great Thou Art:1974

<偉大なるかな神 / How Great Thou Art>は、エルヴィス・プレスリーの愛したゴスペル・ソングの代表作といえるナンバー。 エルヴィスは 1970年代に入ってから、死の直前まてライブて歌っていて、ライブバージョンも3会場のもの.

ガット・マイ・モジョ・ワーキング / Got My Mojo Working 破れたハートを売り物に / One Broken Heart For Sale:1962

コメント

コメントをどうぞ コメントをキャンセル 昭和歌謡 最近の投稿
  • つらいパンチ/Hard Knocks:1964
  • 胸に来ちゃった/It Hurts Me :1964
  • 燃える平原児/Flaming Star:1960
  • ロンリーマン/LonleyMan:1961
  • ヘイ!リトルガール/Hey Little Girl :1965
タグ 最近のコメント
  • クリスマスに帰れたら/If I Get Home On Christmas Day に 愛ピ より
  • クリスマスに帰れたら/If I Get Home On Christmas Day に syu_tyan より
  • クリスマスに帰れたら/If I Get Home On Christmas Day に 愛犬の名前はアロンです より
  • ボサ・ノヴァ・ベビー Bossa Nova Baby に 愛犬名前はアロンです より
  • エルヴィス・プレスリーの「私は誰?」 に 愛犬の名前はアロンです より
アーカイブ カテゴリーから選ぶ メタ情報
  • 特選ソングス
    • エルヴィス・プレスリーの「恋の大穴」
    • エルヴィス・プレスリーの「冷たい女」
    • エルヴィス・プレスリーの「マイ・ベイビー・レフト・ミー」
    • エルヴィス・プレスリーの「いとこにキッス(キッスン・カズン)」
    • エルヴィス・プレスリーの「私は誰?」
    • エルヴィス・プレスリーの「月影のなぎさ」
    • エルヴィス・プレスリー「アイル・ビー・バック」
    • プレスリーの内気な打明け / Just Tell Her Jim Said Hello:1962
    • アイ・ウォント・ユー、アイ・ニード・ユー、アイ・ラブ・ユー
    • ハウンドドック / Hound Dog:1956
    • ブルー・スウェード・シューズ/Blue Suede Shoes:1956
    • エルヴィスが列車から降りて歩いていった日
    • エルヴィス・プレスリー 会話してくれる歌
    • ロックンロールで爆破された壁の向こう側
    • 明日は遠く/「ぼくの宝物だ。」とボブ・ディランは言った。