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風間俊介が心の内に抱える“モンスター”の一面を舞台上で解き放つ瞬間とは——

風間俊介(以下、風間) “モンスター”という題名の作品は世界中に多々ありますが、何をもって何を描くのかは作家さんの視点によって異なっていて、それぞれに個性があります。今回の台本を読んだときに、“モンスター”という言葉から一般的に連想される脅威的なものではなく、目には見えない潜在的なものを描くのではないかと理解して、このお話を受けさせていただきました。僕のこの読みはまさに当たっていて、日常の身近なところに潜んでいる怖さというものを象徴していました。

風間 僕はトム自身も“モンスター”だと思っています。風貌からすると、俗に言う“モンスター”はダリルなので、おそらく舞台に登場したトムをご覧になっても、すぐに“モンスター”だとは思わないでしょう。しかし、トムという人物がいるからこそ、誰の心の中にも “狂気”は潜んでいるのではないか、と僕は考えています。昔の『サザエさん』の主題歌の歌詞に“私もサザエさん、あなたもサザエさん”というフレーズがありましたが、それに似たものを感じていて、トムは皆さんに“あなたもモンスターじゃないですか?”という問いかけをするキャラクターになるのではないでしょうか。そして、僕が考えるこの作品の面白いところは、登場する4人全員が、“モンスター”だということ。あなたもモンスター、私もモンスターと、登場人物たちに潜む狂気を見出したなら、観客の皆さんの心に寄り添えるのではないかと感じています。

“光”と“闇”で映し出す人物像

風間 “光”と“闇”といいましょうか。人には必ずある二面性だと思いますが、実は僕、自分の“闇”、“黒いところ”が意外と好きです。若かりし頃にダークサイドを描いた役をたくさんやらせていただいたということもありますし、逆に30代になってからは、どちらかというと“光”が当たっているキャラクターを演じる機会が多くありました。この両極を演じたからこそ、良い人物を演じるときは“この人の闇はどこなのだろう”と探しますし、ダークサイドの役を演じるときには、“この人の光はどこなのだろう”と考えます。だから自分のダークサイドの部分を大切にしてあげたいと思っています。今、こうして皆さんの前でお話する時は、光が当たっている面を見ていただいている訳で、色濃く抱えている闇をご覧いただけないことを残念に思うくらいです(笑)。でも、その闇の部分を垣間見ていただけるのが演劇だと思います。僕が演じているのをご覧になって、“こいつはマジなのではないか?”と感じていただけたとしたら、僕の闇が“やっと顔を出していいんですか?”と問いかけている瞬間だと思います(笑)。

風間 今、稽古に挑む前の僕が思っているのは(取材時は9月)、客観性が必要だということです。トムという役に没入すればするほど、会話が成り立っていないことに気づいてしまう。でも、作品としては会話が成立していないことに気づくのは観客であって、トムという人物を造形できたのなら気づかないと思います。ディスコミュケーションであることに気づかないという関係性を創り上げなくてはならないのです。この核心的な会話不成立に作家の妙も感じられて面白いのでしょうが、僕にとっては立ちはだかっている大きな壁ですね。 20年以上にわたってお芝居をやらせていただいてきましたが、今回の台本は読み物として面白いと思いながら、覚えられる気がしていません。これまでの経験でいえば、役者として役に没入していくと、相手の話を聞いてそこで言葉が生まれてくるんです。でも本作は自分の話をしたり、相手の話をしているようにして自分の話をしたり、一見会話が成り立ってみえるところが恐ろしいです。そして実のところ、徹頭徹尾、成り立っていない。それを自分に言い聞かせながら覚えるのは、今までにないことなので、初挑戦になると思います。ディスコミュニケーションを成立させるには、稽古場で4人が信じられないくらいしっかりしたコミュニケーションを取らなければなりません。ですから、役作りをするというより、この舞台に挑む心づもりをしています。

没頭しすぎない役との距離感

風間 共感するところはあると思いますが、同じではありません。例えばトムが感じている気持ちをAという記号に置き換えたとしたら、僕はBあるいはCで、Aに至るのに似通った感情かもしれないけれど、イコールではないですね。しかしトムの突発的な感情には、僕の中にあるものとの繋がりは感じています。ただ、僕のは突発性ではなく、“遅効性の怒り”です。イラッとしたことが起きた時に一度精査して怒りが収まっても、1時間、時には1週間、時には半年くらい経ってから、怒りの一瞬が甦って思い浮かぶんです。そんな自分が怖いと思います。これが僕の”モンスター“で、トムの突発性とは違いますね。

風間 役に没頭し過ぎてしまうのは、役者自身を破滅させることにも繋がるということ。僕は長生きしたいからその一歩手前に留まって、演じることを楽しみたいと思います。自分のために時間があるとしたら、調べ物をしますね。ディズニーのこととか、気になることがあったら調べ尽くす。最近はスマホで検索することが増えました。もともと、ものすごく活字を欲していたのですが、台本が次から次へと手もとに届くので、今はそれで満たされて本を買う機会は減りました。

風間俊介(KAZAMA SHUNSUKE) 東京都出身。1997年に芸能活動をスタートし、98年にドラマデビュー。1999年、ドラマ『3年B組金八先生』で優等生の仮面をかぶった問題児役を演じて注目を浴び、日刊スポーツ・ドラマグランプリ最優秀新人賞を受賞。他に朝の情報番組『ZIP!』の月曜パーソナリティやアニメーションの声優など幅広く活躍している。近年では舞台『儚き光のラプソディ』(24)、『隠し砦の三悪人』(23)、映画『先生の白い嘘』(24)、ドラマ『『たとえあなたを忘れても』(23)、『silent』(22)など出演多数。

『モンスター』 作:ダンカン・マクミラン翻訳:髙田曜子演出・美術:杉原邦生音楽:原口沙輔出演:風間俊介 松岡広大 笠松はる 那須佐代子

(東京公演)会場:新国立劇場 小劇場上演日程:2024年12月18日〜28日問合せ:キョードーインフォメーション TEL. 0570-200-888公式サイトはこちら(大阪公演)会場:松下IMPホール上演日程:11月30日〜12月1日問合せ:キョードーインフォメーション TEL. 0570-200-888(水戸公演)会場:水戸芸術館ACM劇場上演日程:12月7日〜8日問合せ:水戸芸術館ACM劇場 TEL. 029-227-8123(福岡公演)会場:福岡市立南市民センター 文化ホール 上演日程:12月14日問合せ:ピクニックチケットセンター TEL. 050-3539-8330

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